経済・港湾委員会速記録
(H14/6/7)

●高橋労働調整担当部長 お手元の資料3、請願・陳情審査説明表の4ページをお開き下さい。
 請願14第14号 技能研修機能を備えた技能検定試験施設に関する請願についてご説明申し上げます。
 請願者は、港区の東京都配管技能検定推進協議会の会長、今井海記さん他38名の方々でございます。
 本請願の趣旨でございますが、技能研修機能を備えた技能検定試験施設建設に関して、次のことを実現していただきたいというものでございます。
 その内容は第一に、職業能力開発促進法に基づき実施される技能検定実技試験会場としてはもとより、東京都配管技能検定推進協議会など、異業種39団体の業界のさまざまな技術、技能向上及び人材育成のためにも活用し得る多目的施設として、次の規模を備えた施設を都内の遊休地などに新規建設するということでございます。
 (1)実技試験場の面積は1600平方メートル程度 (2)施設は防風雨で、床はコンクリートまたは不燃材仕上げ、作業に支障のない照明設備、給排水設備、排水溝、空調、給排気、動力電源、防音など (3)附帯設備は、検定委員控室、採点室、検定材専用倉庫、作品置き場、食堂室、受験者控室、放送設備、便所、駐車場は150台程度(受験者が作業工具を持参するため)など (4)座学用教室(学科試験、各種研修等用) (5)使用時間は午前8時から午後8時までというものでございます。
 第二に、上記の施設建設を早急に実現することが困難な場合には、行政として組織横断的な判断に立ち、少子化に伴う廃校を活用するなどして技能振興の拠点確保の施設に充てることの二点でございます。
 現在の状況でございますが、以上の二点につきまして総括的にご説明申し上げます。
 技能検定は技能の向上を図るための重要な制度でありまして、請願にあるような技能検定のための施設が、都内に確保されることは望ましいことでございます。
 しかし、このような施設を新たに建設することは、多額の費用がかかること、広大な建設用地が必要であることなど多くの課題がございます。
 このため、技能検定実技試験だけでなく、高度熟練技能の継承や技術、技能者の育成等、他の機能を併せ持つ多目的施設について、既存の施設の活用も含め、総合的に検討を行ってまいります。
 以上で説明を終わらせていただきます。
 よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○中村委員 本請願について、一言だけ意見を言わせて頂きますが、今、るる説明がたくさんございました。この請願の趣旨に沿わない回答も聞こえたような感じも、私は受けました。
 その中で、この職業能力開発促進法に基づいて実施されている技能検定試験、ただいま説明のありました137職種。そのうち東京都内で試験を実施しているのは100種類ですね。そういうほとんどが都内で試験を実施しているわけでございますが、その実施している場所が、東京都立技術専門学校や民間の工場など既存の施設を活用しているのが実態であります。
 請願では、ここに1600平米の実技試験場、あるいは受験者が作業道具、工具を持参してくるのに電車では大変だということで、150台規模の駐車場といった具体的な請願が出ております。しかし、先ほどからの答弁の仲にもありました、施設の建設については非常に大変な部分があると。その大変な部分というのは、この今の東京都の財政、この財政の中で果たして1600平米の敷地を有する、そしてまたいろいろな検定科目に沿うような設備を作らなければならない。そしてまた広大な建設用地、それから建物、そういうものを全てクリアできるのかというところに疑問を感じるわけでございます。
 そしてまた、この技能研修機能、備えているとはいいながらも、技能検定が一定期間内にしか実施されていないことを考えれば、使用頻度という点でも疑問があります。むしろ、この東京都立技術専門学校など、既存の施設をさらに活用していくという方向で検討していった方が、より現実的ではないでしょうか。
 私は、高度な熟練技術、次世代に継承して東京のものづくりを発展させていくことは、中屋委員が発言したのと同様、大変重要なことだと、これは私ども民主党も痛切に感じております。私たちが主張してきたものづくり名工塾、今回も東京ものづくり名工塾を実施しますと、こういう内容を充実させたパンフレットをつくり、これを東京都が発信しようとしているわけですね。そういうものを充実させて、東京都独自のホワイトカラー能力認定制度、こういうものを創設したり、東京都中小企業振興対策審議会で提言されている施策み取り組むことの方が、ものづくりを支える人材を育成していく上で、より優先度が高いと考えております。
 したがいまして、この請願を趣旨採択するには、現在の東京都の財政状況を考えれば疑問があり、不採択にするべきであると申し述べて発言を終わります。
 以上です。