経済・港湾委員会速記録
(H14/3/4)

中村委員 それでは、船舶の係留保管場所について質問いたします。
 確かに今まで不法係留というんですか、放置されている船が多いのは十分承知しておりますし、それを整備していこうというこの条例、非常に大切なものでございますのは十分承知しております。ただ、その中で、プレジャーボートと工事の船と、また屋形船、全く性質が違うんですよね。
 プレジャーボートというのは、個人の気持ちを優雅にするような、そしてまた、みんなの気持ちを豊かにするような、そういう使われ方をしている。しかし、工事用の作業船、または屋形船を運航することによって生活をしている方々が当然いらっしゃるわけですし、また、作業船もそれによって生活し、なりわいをしている人たちがいるわけです。そこのところを全部一緒にしてしまって---もちろん河川または港湾で防災、美観、そういうものも大切なんですけれども、すべてを一緒の条例でくくってしまうのはどうなのかなというような気がするわけですね。
 工事用の作業船ですと、一日に必ず作業をして、運搬して、また係留所に戻すというようなことをしている中で、今、お話を伺ったところ、湾の中に208隻の不法係留があると。屋形船に関しては24隻であると。工事用の作業船というのは大きな船ですから、河川の方にはなかなか行かない。しかし、屋形船に関しては、船着場があって、そこの所にとめておかないと、すぐお客様の対応ができない、そしてまた船の清掃もできないと、作業員のそういう利便性もなかなか図れないということで、いわゆる船着場、船宿さんのすぐそばに係留しておきたい、置いておきたいというのは十分わかるわけです。
 そこで、保管場所も、確かにほかに作るのも結構なんですが、河川のすぐそばに、船着場のすぐそばに係留場所を設けるというのが一番いいのではないかなと思うんです。そうすると、それは何か建設局の、河川は局が違うとかいうのがあるわけなんですが、そこら辺のところを当然港湾局と建設局は関係しているわけですけれども、特に生活に密着している人たちがいる屋形船、これの係留の仕方はどういうふうにやっていいくのか、そしてまた、どのようにしたら河川の安全、または港湾の安全が図っていけるのか、これについての答えをひとつお願いいたします。

浅倉港湾経営部長 屋形船につきましては、その多くが河川内にあることから、建設局とともに、施設整備等、対応策を十分検討していきたいというふうに思っております。その際、営業船であります屋形船につきましては、保管場所だけでなく、食材の仕込み場、荷物の荷おろし、乗降場所、そういった営業実態や地理的条件を考慮する必要があると思っており、業界団体とも十分協議をしながら施設整備を進めてまいりたいと思っております。
 15年1月の条例施行後に、条件の整った所から、適正化に向けて段階的な規制を図っていきたいというふうに思っております。

中村委員 そうですね。そういうふうにやっていくしかないと思うんですが、それとまた一時保管場所、先ほど保管場所等の説明を受けて、作業船500隻、それから屋形船270隻、この水域占用許可というお話を少し聞きましたけれども、水域占用許可というのはどういうことなんでしょうか、説明してください。

浅倉港湾経営部長 保管場所を全部整備すればよろしいわけですが、工事用作業船、あるいは屋形船につきましては、これまでの経緯から、マリーナのような保管場所ということではなくて、航行の安全、周りの安全、いろいろな 環境を総合的に判断して、許可できるところについては水域占用許可を出しております。その際に、例えばくいを打っても、その場合には水域占用許可の対象になります。そういった形でもって、できるだけ施設の確保に努めてきたところでございます。

中村委員 そうしますと、くいを打って係留をしていくと。そこにも当然、使用料というのは賦課されるわけですね。

浅倉港湾経営部長 東京都港湾区域及び港湾隣接地域占用料等徴収条例に基づく料金をいただくことになります。水域占用の使用料をいただくことになります。

中村委員 保管というのは一番大切だなとは思うんですが、それでも不法係留、話を聞いてくれない、説明を、説得を聞いてくれないといった場合に、当然、いわゆるここに出ていますように、移動して保管し、そしてまた第三者機関に競売にかけるということになっておりますが、移動するときの費用、これは当然持ち主本人の負担になるだろうと思うわけですけれども、その辺はどのように考えていらっしゃいますか。

浅倉港湾経営部長 移動費及び保管費用につきましては、当然、放置をした方々の負担になります。現在、移動費用等につきまして、その移動、一時保管の方法、それから費用の積算等の検討を行っております。今後、その点につきましては、今後定めます規則等の中で規定していきたいというふうに思っております。

中村委員 そういう法律、条例等を遵守しない者には、やはり高い費用というんですか、負担をかけさせるのが当然ではないかなと思うわけで、この条例の案なんですが、その中で罰則がありますね。案として罰則とあって、罰金の第20条と第21条というのがここに案としてあるわけですけれども、これの違いというんですか、この係留保管場所が50万、そしてまた、放置した場合は30万以下の罰金というふうになっているんです。これの違いの説明と、災害時に避難等を妨げた者に対しての罰金となっているわけですが、災害時でないときの罰金というものは、係留というか、引っ張ってきたときの、移動したときの費用とか、そういうことだけで、移動費用、保管費用、その他の罰金というものはないのでしょうか。

浅倉港湾経営部長  罰金とその他の罰則、ペナルティーとは若干異なりますので、まず、条例が規定しております全体的なペナルティー等についてご説明させていただきます。
 適正化区域内に船舶を放置しまして、我々の指導、警告に従わない場合には、氏名等の公表を行います。また、係留保管場所として不当、不法な継続使用をしている場合は、5万円以下の過料を科すといったことにしております。災害時以外での通常ペナルティー、罰則はこうしたものでございます。
 次に、罰金ですけれども、重点適正化区域内で、船舶の放置が原因で災害時に船舶による避難等を妨げた場合、先生お話がありましたように、30万円以下と50万円以下と二種類の禁止行為を想定しておりまして、一つが、船舶の放置という単なる一時的な放置を禁止しているもの、二つ目は、係留保管場所としての使用という水面の不法な継続使用を禁止するものでございます。一時的な放置と継続的な使用という、この悪質性の差に着目して、罰金について軽重を設けることとしたものでございまして、この点につきましては、東京地方検察庁と協議の上、設定したものでございます。

中村委員 非常に新しいじ条例で、また、相手が道路と違いまして、何処かへ、海へ行ってしまえばわからなくなってしまうような、また、この局も建設局と港湾局と、または七都県市、ほかの地域とのそういうような兼ね合いもあって、非常に難しいのかなというふうに見受けられるわけです。その中でも、都庁の中で、河川は建設局、港は港湾局、船はどこへ行っても同じ水の上なんですけれども、そこら辺の理解というのは、船の持ち主の方というのはちょっとしにくいのではないかなと思われるところがあるんですね。
 いってみれば、警察というか、交通なんかもそうですけれども、ここは所轄が違うよ、ここはこっちの所轄、道路を隔ててこっちは違ってしまうよというと、そこで責任のなすり合いというか、逃げ合いというか、そういった事が多々見受けられるわけですね。今までの悪い例としては、縦割り行政でほかのところに連絡が行かないというのがあるわけですけども、この新しい条例に関しては決してそんなことがあってはいけないですし、また、それを連携していかなければいけない。
 特に、東京湾の美しい水辺を取り戻し、また、今度、豊洲の方にも中央卸売市場ができて、そこもまた外国人観光客にも多く見てもらおうというときに、不法係留している、放置している船がたくさんあったりとか、また、朽ち果てたような船があるようではいけないわけで、それがまた河川の方に逃げていったりとか、または湾に逃げてきたりとか、そういうようなことのないように、常にほかの局との連携が大切なわけでございます。
 今後、当然、港湾局長としては、その辺も踏まえてこの条例の実現を図っていくわけでございますが、ほかの局との連携、そしてまた、この東京都船舶の係留保管の適正化に関する条例の実施、15年の1月からの実施ですけれども、それに向けての決意を述べていただいて、質問を終わらせていただきます。

川崎港湾局長 
この条例の特色の一つに、河川と港湾を一体として船舶の係留保管の秩序を維持するということがございます。事業局が所管します条例で、このように複数の局が担当するというのは極めて珍しいことでございます。今後の施行規則、それから適正化計画の策定はもとより、実際の不法係留の船の措置につきましては、建設局と十分連携をとりながらやっていきたいというふうに思っております。