平成12年度公営企業会計決算特別委員会(H13/10/29)

中村委員 まず最初に、地下鉄に関しましてのバリアフリー化、これについてお尋ねをいたします。
 先般、この交通局経営計画、チャレンジ2001の概念がでております。その中で事業計画、効率化計画、経営方針、収入の目標達成と、大きく分けて位置づけているわけですけれども、その事業計画の中でサービスの向上、バリアフリー対策の強化というのが出ております。
 今、バリアフリー対策はいろいろなところで行われているわけですね。ただ単に障害者の方ばかりでなく、健康ではあるのだけれども歩行がおぼつかないお年よりの方、そういう方に関しましても東京都の交通機関が率先してバリアフリー化を進めていかなければいけないのではないかと、こういうふうに思うわけでございます。
 そのなかでもやはり、この前、浅草の駅でライオンズクラブが車椅子に自分たちで乗って、どうやって駅へ行けるんだろうという試しをしたわけですね。それをまた福祉の方に反映していこうと、奉仕をしようということでやったわけでございますけれども、確かに改札口、そしてエレベーター等は非常に整備されているところもある。しかし、そこへ行くまでの間のほんのわずかな、上がりかまち10センチの段が車椅子では上がれなかった、上がりにくかったというのもあるわけですね。
 今まで交通局としては非常にバリアフリーとしていろんなこともてがけております。ただ、いろいろな問題がまだまだあろうかと思いますけれども、その中で先般、交通バリアフリー法というものができました。
 最初にそのバリアフリー法、どういった内容であるのか、まずお尋ねを申し上げます。

金安建設工務部長 交通バリアフリー法の内容でございますけれども、平成12年の11月に施行されました高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律、いわゆる交通バリアフリー法でございますけれども、公共交通機関を利用する高齢者、身体障害者等の移動の利便性、安全性の向上を促進すというこうとを目的にいたしまして、国は、移動円滑化の意義や目標、公共交通事業者が構ずべき措置に関する基本的事項、市町村が作成する基本理想の指針等の基本方針を策定すること、区市町村は、国の基本方針を受けて、駅等の旅客施設やその周辺で重点的、一体的にバリアフリー化を進めるための基本理想を作成すること、公共交通事業者等は、区市町村が作成した基本理想に沿って具体的な事業計画を作成し、バリアフリー化のための事業を実施すること、そして国や地方公共団体は、補助や税制上の特例など支援措置を講ずることということ等を網羅いたしておりまして、これらの施策について規定をしているところでございます。

中村委員 国や区市町村、それの目標というのはある程度わかりました。
 それでは、東京都における鉄道の駅ですね。先ほど移動の円滑化を図るということが出ておりましたけれども、駅に関しての移動の円滑化、どのような目標で東京都としては取り組んでいるのか、これをお示しください。

金安建設工務部長 既設鉄道駅における移動円滑化の目標は、平成22年までに、だれもが利用しやすい旅客施設となるよう、その整備に努めることとされております。
 具体的な整備内容といたしましては、利用者が1日平均5千人以上の駅におきまして、エレベーターまたはエスカレーターを高低差が5メートル以上の駅に設置することを初めとした段差の解消、それから視覚障害者誘導用ブロックの整備、さらには身体障害者対応型トイレの設置等につきまして、原則としてすべての鉄道駅に実施するということを目標としてございます。

中村委員 平成22年までに整備をしていくというわけですけれども、あと10年以内には全駅きれいになるのかな、そして障害者の方々には非常に便利な、利便性のある駅になっていくのかなと思われるわけですけれども、障害を持たれている方というのは、10年待っていられるかどうか、そこら辺はちょっとわからないわけですよね。
 その中で、今、エスカレーター、これがほぼ全駅といっていいぐらいにエスカレーターが設置されようとしていますし、設置されれているわけでございます。ただ、車椅子の方というのは、エスカレーターというのは非常に乗りにくいんですね。やはり入っていってボタンひとつでホームまで行く、またはコンコースへ出る、そういったエレベーター、そういうものがあると助かるなという、そういう声も聞かれております。
 その中で、エレベーター、またエスカレーター、これをどのような方法で整備していくのか、そのお考え方をお示しください。

金安建設工務部長 交通局におきましては、東京都福祉の街づくり条例に基づきまして、今ご指摘の高齢者や障害者を初めといたしまして、だれもが利用しやすい地下鉄とするために、エレベーター、エスカレーターの整備を進めてまいりました。今後は、先ほど申し上げました平成12年11月に施行となりました交通バリアフリー法の趣旨を踏まえまして、着実にエレベーター、エスカレーターの整備を推進してまいります。
 整備に当たっての基本的考え方でございますけれども、1つは、全駅にホームから地上まで、エレベーターまたはエスカレーターによる1ルートの確保目指し、整備を行ってまいります。2つ目には、設置につきまして、駅の構造、設置スペース等を勘案いたしまして、乗降客の多い駅、交差連絡駅等を優先的に整備を図ってまいります。3つ目には、駅周辺の建築計画及び再開発計画等との連携を図り、整備に努めてまいります。最後に4つ目には、公共用地の活用あるいは財源の確保など、国や関係機関の協力を得ながら推進を図ってまいります。

中村委員 ワンルートでホームからコンコース、または地上に出て行くということでございますが、今現在はワンルートになっているところというのはあるんですか。お示しください。

金安建設工務部長 ただいま現在、ホームから地上までエレベーターによる1ルートが確保されている駅は、浅草線におきましては20駅中3駅、三田線におきましては27駅中2駅、新宿線が21駅中3駅、大江戸線につきましては全37駅で整備がされておりまして、都営地下鉄全105駅中45駅、43%の確保率になってございます。
 なお、エレベーターあるいはエスカレーターで1ルート確保されている駅は、全105駅中57駅で、54%の達成率というふうになっております。

中村委員 ちょっと済みません、今、聞き漏らしたんですけれども、エスカレーターで行けるのが45駅で43%、エレベーターで行けるのが54%といいましたか。ちょっともう一回そこのところを、済みません。

金安建設工務部長 もう1度、詳細にお答えを申し上げます。ちょっとご理解がしにくかったと思いますが、ホームから地上までエレベーターだけで1ルート確保されているものが、都営地下鉄の全105駅のうち45駅でございます。プラスいたしまして、エレベーターだけではなく、エレベーターとエスカレーター、そういう形で、併用で1ルート確保されている駅もございまして、それからを合算いたしますと、105駅中57駅に上がりまして、達成率が 54%になると、こういうことでございます。

中村委員 非常に熱心にやられている、そしてまた43%、まだまだこれからやらなきゃならないというふうには思われますけれども、実績としては非常に良好な状態で進んでいるのかなという感じもいたします。
 ただ、これからやらなければならないところ、残った50%近いところが、すぐできてはいない、または一緒に手がけることができなかった、こういうふうに思われてもしょうがないわけですよね。その辺のところというのは、何か問題があったんでしょうか。または、設置する上でのそういったいろいろな課題、こういうものは何があるのか、その辺も1つお示しください。

金安建設工務部長 エレベーター、エスカレーターを整備する上での何か問題、あるいは課題ということでございますけれども、主な課題といたしましては、1つは、駅の構造あるいは歩道の幅員、そして地下埋設物などから、地下への出入り口のスペースの確保が非常に難しいということがございます。それから2つ目には、駅構内の設置スペースが限られておりまして、エレベーター、エスカレーターの設置には地下構造物の大規模な改良が必要になってくるということがございます。そして3つ目には、出入り口用地の確保や大規模改良には多大な費用を要しまして財源の確保が必要となる、こういった点がございます。

中村委員  確かに今いわれたとおり、エレベーター、ホームの上に直接出ようとしたら民地があったとか、そういうようなことだろうと思うわけですね。特に一つは、西新宿の大江戸線の駅ですか、あそこもエレベーターのところに行くのに延々と歩いていかなければならない。やむを得ないのかなと思いながらも、非常に大変だな、何とかならないかなというような気もいたします。
 特に我々健常者ですら、急いでいるとき、そしてまた歩いてるときなんかに、ホームからエスカレーター、エレベーターがあったら非常に便利なのにという、交通弱者だけではなくて、そういった都民サービスも考えてよろしいのではないかなと思われるわけですけれども、やはり民間の交通機関よりも率先して公共の東京都の交通局がやっていかなければ、範を示すという方向で進むのが一番いいのではないかなと思われるわけですね。
 その中でバリアフリー化を積極的に推進していっていただきたいわけでございますけれども、これらの実現にむけて決意をひとつお示しいただけたらと思います。

寺内交通局長 交通局といたしましては、これまでもただいまの安全性、そしてまた環境対策やら今の福祉対策というふうに力を注いできたつもりでございます。お話のように、私どもの部長から答弁ありましたとおり、構造的な問題やら、あるいは財源問題やら、いろいろ課題はありますけれども、多くのお客様に、だれでもが乗れるようにすることが私どもの務めでもございますので、各関係機関、あるいは議会の皆様方のご支援もいただきながら、これからの積極的なバリアフリー対策に取り組んでいきたい、このように考えてございます。

中村委員 バリアフリー、局長の強い決意をもって、積極的にこれから進んでいくんだなと、私自身も非常に嬉しく思い、また都民も期待するところであろうかと思います。
 その中で、多くの人が安心して乗れる中の一つには、やはり料金体系もあるわけですね。料金体系について一つお尋ねを申したいのですが、例えば営団地下鉄から都営地下鉄に乗り継ぐ、そのときの料金が割引にならないのか。それからまた、都バスから都営地下鉄に、同じ会社といっては変ですけれども、事業体の中での、採算は別会計ですけれども、国民からみれば同じ東京都の乗り物なのに別料金なのかというのを、せんだって私の手元に届いたわけですね。
 いろいろ調べましたから、確かに割引だとか、一日乗車券だとか、パンフレットだとか、いろいろなのがあるわけですね。ただ、あるんですけれども、そのなかでやはり、それを熟知しない都民が多いわけです。それをどうやって---もちろん周知させなくてはいけないんですけれども、乗り継ぎ、バスから地下鉄、または都電荒川線、そういった東京都でやっているものに対する都民の、安くならないねとか、もう少し、もっと安くなってもいいんじゃないかという、そういう感じを受けているのを、私聞いているわけですね。それを何とか解消していって頂けないかというふうに思われるわけですけども、解消するために何か方法をとっているのか、その辺はどうでしょうか。

齋藤電車部長 ただいま乗り継ぎによります運賃の割り増しとういうことでの割高感を解消するための解決策が何かないのか、どのような対策をとっているのかというご質問の趣旨だと思いますけれども、大江戸線の全線開業時の運賃制度の改善につきましては、地下鉄のネットワークの充実に伴いまして、都営地下鉄と営団地下鉄の乗り継ぎ割引額を50円から70円に拡大するとともに、都営地下鉄と営団地下鉄に一日何回でも乗車できる共通一日乗車券を千円で新設するなど、運賃制度の改善を行いました。

中村委員 今、答えのあったのが、700円で都電、都バス、都営地下鉄乗り放題という、そしてまた千円で都営地下鉄、営団地下鉄一日共通券と、こういうもののことだろうと思うんですね。ただ、これはほとんどの人が知らない。調べてみて初めて、あっ、こんなのがあるのかというような状態です。だから私のところに来た人も、おまえ都議会議員になったんだったら、今度物を言って、東京都の交通機関、一日共通券みたいなものとか、または割引券なんかないのかというような話がでちゃうんですね。割引あるんですよ。あるんだけれども、ほとんどの人が知らない。なぜなのかなという---こういうパンフレットはあるんですから当然PRしているんでしょうけれども、どのような方法で今PRしているのか、その辺ちょっとお知らせ下さい。

齋藤電車部長 乗り継ぎ割引や1日乗車券のPRということでございますが、これまでも交通局のホームページや都営交通の利用方法をわかりやすく解説いたしましたパンフレット、ポスター、路線図等の印刷物や電車の中ずり広告を使いまして、乗り継ぎ割引等についてPRをしてまいりました。

中村委員 今、確かにこのパンフレットだとか、駅のところへ行きますと、大江戸線お散歩マップ総集編とか、グルメマップみたいなもの、たまに出ております。これですね、グルメマップだとか、そういうのも出ております。確かに一生懸命やっているなと、何とかしりたいなという人は駅へ行って見るかも知れません。ただ、これが果たしてほかのところまで、全部あるのか、本当に自分の駅、それからまた、東京都の関係施設等にはあるのかもしれませんが、まだまだ、PRが足りないのではないかと思いますが、もっとPRするにはどうしたらいいか、そのような努力、そういうことをお考えでしょうか。

齋藤電車部長 交通局では、これまでも局長初め本局の部課長とともに大江戸線沿線の企業や学校、ホテル等の集客施設を訪問いたしまして、乗り継ぎ割引を初めとしました運賃制度や目的地までの所要時間、出入り口案内、乗り換え案内など、PRをし、またホテルや区役所などの窓口に路線図や営業案内を置いていただき、一般のお客様に周知していただいております。今後も乗客誘致のために、積極的にPRに努めてまいります。
中村委員 今、積極的な姿勢、多少はわかりました。まだまだ足りないとは私は思うわけですね。というのは、いろいろな企業、それからホテルもありますけれども、一番やはり利用客が多いというのは商店街なんですね。商店街の商店会団体のところに行って、このパンフレット一つ、大体10万枚刷っているという話も伺っております。そういうのをもっと効率的なところに配布する。商店会団体または商工会団体、そしてまたいろんな、もちろん他の企業のところも当然でございましょう。
 先般インターネットを見ました。東京都のホームページ、そしてまた、その中に各局ホームページがあります。交通局を見ました。交通局のところで、そういった割引券など、いろいろなものがでているのかなと思って見ました。交通局のホームページを開きますと、一番最初にインフォメーション、あらまし、それから都営地下鉄、都バス、都電荒川線、またもろもろ、出ています。
 それでこの割引切符はどういう風に出ているんだろうと調べましたところ、まず東京都のホームページを開いて、それから各局のホームページを開いて、乗り物のホームページが出てくる。そしてそこからまた運賃体系が出てきて、そこからやっと割引のところが出てくる。5回クリックしないと、こういう割引のは出てこないんですね。だから初め、どうしても割引なんて出てこないな、定期券の売り場がどうのこうのというのが出ている。なかなかわかりにくい。
本来なら、利用客サービスとするならば、東京都というホームページを開いていて、その中で交通局、交通局を開いた時点で電車案内、交通博物館等も出ているところで、東京都交通局の乗り物のサービスとか、そういうので出てくると、利用者というのは先にそこを見ると思うんですよね。
そうじゃないと---荒川線は一球さん号と呼ばれている電車ですとか、色々なのがありました。それから、電車のをやっている。多分にマスターベーション的なホームページかなと私は受けてしまったわけですね。利用者にわかりやすいというか、利用者が何を望んでいるのか、それが5回クリックしないと割引券だとかが出てこないようなのでは、利用者サイドに立ったホームページのつくり方ではないなというふうに思うわけですよ。
 だから、このパンフレットなんかも、自分たちの駅だけ、または先ほど述べられましたけれども、ホテルだとかいろいろなところに置いておくというけれども、利用者が何を望んでいるのか、これをまず最初に考えて、ホームページだとかパンフレットだとかを作っていただきたい。これは答弁はいいです。私は都民の感覚の代弁者としてこういうふうに申し上げて、要望として終わらせていただきます。