平成21年
オリンピック・パラリンピック招致特別委員会

平成21年10月26日

○中村委員 今の報告、本当に皆様方、大変なご苦労をなさった中での報告だと思います。十月二日、デンマークのコペンハ」ゲンで行われました2016年オリンピック・バラリンピック大会のIOCの総会において、東京が選定されなかったことは、私自身も、オリンピック招致議連の副会長として活動していた中では、本当に残念でならない次第でございます。
 今、この招致活動について説明がございました。ここ一ヵ月で開催されました応援パレード、そしてイベントには、多くの世代を超えた方々が参加されてきました。IOC総会においても、東京のプレゼンテーションについては、鳩山総理を初め、東京都知事や多くのオリンピアン、パラリンピアンが全力でプレゼンテーションしたことが、今の報告からもうかがえるわけでございます。
 投票の結果は、まず第一回戦を勝ち抜き、総会会場、そしてまた都庁での応援団、また国内各地での応援団の方々が大いに喜び、期待が一気に集まったわけでございます。しかし、直後の二回戦であえなく落選となってしまいました。結果としては、ブラジルのリオデジャネイロが南米初の開催都市として選ばれたのでございますが、まずは招致本部長の、このことに関しましての所感をお伺いしたいと思います。

○荒川東京オリンピック・バラリンピック招致本部長 会議の冒頭申し上げましたが、改めて所感を申し述べたいと思います。
 これまで、知事本局を初め全庁体制のもとで、職員と力を合わせて全力で招致活動に取り組んでまいりましたが、結果を出せず、心境は無念でございます。
 しかし、四年間にわたる招致活動に対しましては、都議会の招致議連を初め、日本全国から大変多くのご支援、ご協力をいただき、また最後のコペンハーゲンにも大勢の応援団に駆けつけていただきました。改めて感謝を申し上げたいと思います。
 東京が開催都市になれなかった理由については、後ほど報告書として整理をいたしますけれども、開催計画もプレゼンテーションも、どちらも東京の評価は高かったというわけですけれども、最終的には、リオデジャネイロのまさに国を挙げた南米初というキャンペーンに勝てなかったのが直接の敗因だというふうに思います。
 このように、東京の招致は成りませんでしたが、成果は十分あったというふうに確信しております。世界に対しては、地球環境の大切さを大いに訴えることができ、また、東京のすばらしさや強みもアピールすることができました。
 また、立候補ファイルの作成過程では、環境や情報など、いろいろな分野で新しいアイデア、技術を生み出すとともに、海外の国際競技団体とも親密なコネクションをつくることができました。
 また、招致をきっかけに、オリンピアンやバラリンピアンとのスポーツ交流が全国あるいは都内各地に広がりまして、そこでは、フェアプレーやチームワークといったオリンピック精神の普及啓発とともに、子どもたちとトップアスリートとの触れ合いの場ともなり、次代を担う子供たちのために大きな財産を残したのではないかというふうに思います。
 今後も、必要な事業は継続していき、都市づくりやまちづくりに生かしていくことが重要であると思います。また、そうすることで新たな活力や、あるいは新たな挑戦も生まれてくるというふうに思います。
 改めまして、当委員会の皆様のこれまでのご支援とご協力に心から感謝申し上げます。
 ありがとうございました。

○中村委員 今回の招致活動、まことに残念、本当に残念、断腸の思いでございますが、日本におけるオリンピックに対する思い、またスポーツに対する意識が以前よりも高まったと私も感じますし、レガシーとして確かなことと考える次第でございます。
 これらの国内招致活動を通じてあらわれてきたスポーツヘの意識の高まり、そして都内各所のスポーツクラブなどの活性化、スポーツ都市東京の実現に向けたきまざまな取り組みに反映していくことが今後大事なことでございます。このような意識を、今、本部長からもお話がありました次世代の子どもたちに続けていく、維持していくと、私も考えます。
 その点については、今後、次世代の子どもたちにつなげていくにはどういうふうにしていくのか、これもお示しいただけたらと思います。
○細井東嵩オリンピック・バラリンピック招致本部企画部長 招致活動を進める中で芽生えました都民、国民のスポーツに対する意識の高まりは、招致活動のレガシーとして次世代に伝えていくことの重要性につきましては、中村理事と全く認識を一にしているところでございます。
 例えば、オリンピックムープメント共同推進事業のスポーツ教室、実技指導などには、平成二十年度、単年度だけでも約三万七千人の子どもが参加いたしました。オリンピアン、バラリンピアンとのスポーツ交流により、子ビもたちに将来の夢や勇気を提供できたものと考えております。
 オリンピック招致を機に、各局でもスポーツ振興策は盛んに行われておりまして、教育庁は子供の体力向上推進本部が設置され、子どもの体力向上やスポーツ教育の推進を目指す新たな施策が検討されております。また生活文化スポーツ局では、ジュニア選手の発掘、育成、強化プログラムも始まっております。このほか、学校芝生化の推進や地域スポーツクラブの育成など、多くの事業展開が各局で始まっているところでございます。
 週一回以上スポーツを行う人の比率でありますスポーツ実施率という比率がございまして、この二ヵ年間で、二年前の39%から43%へと4ポイントも増加したことも、この招致活動の成果であるといえるのではないか、このように思っております。    
 今後も、さまざまな方法を用いまして、このレガシーを継承し、都民、国民の間にスポーツを根づかせていくことが極めて重要だと考えております。都議会議員の皆様のご理解と一層のご支援をお願い申し上げます。

○中村委員 これからも、スポーツに対して皆様方のご努力、大いに期待するものであります。
 今回の招致経験を国内の他都市も含めて伝え、そして協力していかなければならない、このように考えているわけでございます。
 そこで、先ほど報告の中にもありました2016年オリンピック・バラリンピック招致活動報告書、これをいつごろ作成し、また公表できるのか、その辺をお示しいただけたらと思いますので、お願いいたします。

○中嶋東京オリンピック・バラリンピック招致本部招致推進部長 都といたしましては、今回の招致活動により得られました貴重な経験や招致に関するノウハウを継承するため、JOCや招致委員会などと協力いたしまして、ただいまお話のありました招致活動報告書を作成してまいります。
 この招致活動報告書は、今回の招致活動の記録に加えまして、今後のスポーツ振興や都政にも活用していけるよう、招致活動の成果などを多角的に検証し、その全容を都民に明らかにするものでございます。これにつきましては、今年度内に公表できますよう、取りまとめていく予定でございます。
○中村委員 そうですね。なるべく早い時期に報告書が取りまとめられることを要望しておきます。
 そして、招致委員会の会長を兼務する知事も、積極的に、招致の経費を含めた実態を都民の目の前に明らかにすると述べられていることがございました。議会においても真撃な答弁を期待するものであります。
 私も、都議会オリンピック・バラリンピック招致議員連盟の副会長として、多くの都道府県や政令市、招致活動をしていただくなど、招致活動に深くかかわってきたのでございます。四年前に議連を立ち上げるときには、我が会派をまとめるのにも大いな苦労をいたして、ここまで来れたことは、私自身も万感の思いがあるわけでございます。
 私と同様に、招致本部の皆さん方も恐らくいろんな思いがあろうかと思います。その思いを、思いのたけを、知事本局長、述べていただいて、私の質問を終わらせていただきます。

○吉川知事本局長
 まずもって、このたびの招致活動にご支援、ご協力をいただきました、本当に数多くの都民、国民の皆様、また早々と招致決議をいただいた、今、理事の方からもお話もございましたが、全国の自治体の皆様、また、最終的には財政保証等でバックアップしていただきました国の関係者の方々も含みますが、さらに、寄附もしくはオフィシャルパートナーとなっていただいた企業の関係者の方々、そして何よりも忘れてはならないのは、我々のこれらの取り組みの先頭に立って行動していただきました招致議連の先生方、これらすべての方々に心から感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 石原知事を先頭に、招致本部、招致委員会の職員が中心となって、二十一世紀を担う多くの若者に夢と希望を送り、東京のさらなる成熟のための好機となろオリンピック・バラリンピック招致実現に取り組んでまいりましたけれども、結果としてかなわなかったわけでございます。私も残念無念であります。コペンハーゲンの地で、本当にプレゼンテーションもすばらしかったし、一回戦のときの感動、で、直ちに発表された二回戦での残念無念というのは、本当に深い思い出が心に残っております。
 しかし、先ほど荒川本部長からお話もございましたが、これまでの招致活動を通じまして、都政には多くのレガシーが残ったと思っております。
第一に、地域におけるスポーツ活動の拡大、障害者スポーツの普及にかつてなく本格的な取り組みが開始されております。
 また第二に、世界に、治安のよさなど東京の本当のすばらしさ、そして何よりも日本人の平和を求める心、これらがアピールできたと思っております。
 最後に、第三点としては、初のカーボンマイナスオリンピックという、今後の新たなオリンピックのありようを東京から提起、また、国に先駆け、先生方のご了解をいただき早々と導入したキャップ・アンド・トレードに代表される環境施策を初め、さまざまな分野での先進的な施策を、「十年後の東京」計画に基づき具体的に既に始動させることがでさている。
 これら三点がレガシーであるというふうに私は思っております。
 いずれにしましても、これらを通じまして、「十年後の東京」計画で掲げました二十一世紀のモデルとなる都市東京、これをつくり上げるという、より高い次元での都市づくりに挑戦した今回の経験は、今後の都政運営にとって大きな財産であり、大きな成果であったと思っております。これらレガシーを東京のさらなる発展に何としてもつなげていきたいとという決意でございます。