平成18年
都市整備委員会

平成18年9月28日(木)-

○中村委員 この景観条例、平成九年の時点で東京都景観条例というものを制定したわけでございまして、その中身としては、東京の自然を生かして、歴史と文化を経承し、地域の個性と多様な魅力を発展させ、美しく潤いのある東京をつくることというのを目的としているわけですよね。しかし、現状では、目的である美しく潤いのある東京、これが果たして実現されているのかなというのは、まちを歩いているとなかなか擬間を感じるところが多々あるわけでありまして、そこで平成十七年、昨年一月に、都知事から東京都景観審議会に対して、東京における今後の景観施策のあり方についてという諮問があったわけでございます。
 本年一月に答申が出されました。答申をされた方々は、学識経験者七名、都民代表で三名、事業者の代表で三名、また区市町村長代表が三名という方々で審議されたわけですけれども、その中で、答申の内容ですが、現在、開発事業者に対する周知不足や配慮すべき具体的内容が定められていないなど、歴史的景観に配慮した術並みづくりが進んできたとはいえない状況であるというふうに書かれているわけです。そうしたことから、都市再生と景観づくり、観光まちづくりとの連携、今回の屋外広告物の規制との連携が打ち出され、美しく魅力とにぎわいのある国際都市東京を創造していくんだというふうにも答申の内容に書かれているわけでございます。
 例えば外国の都市へ行きますと、皆さんも多く行かれていると思うんですけれども、ロンドンへ行きますと、ロンドンというのは英国紳士があたかも歩いているような感じの石の文化であり、落ち着いた感じの都市碍造ができているわけですね。都市の術並みができているわけです。そしてまた、ローマ。ローマというのは、古代ローマ帝国の歴史と文化、こういうものを保全していこうという、そういうまちであるわけです。また、フランス。フランスはシャンゼリゼ通りに代表されるように、華やかでもあるけれども非常に緑が豊かである、そういう潤いのあるまち。そういうように、都市というのはそれぞれの特性というのが生かされているし、その都市に関しては、国の人たち、また都市の人たちが誇りを持っているんですね。そういう東京でなくてはいけないというふうに思うわけであります。それが果たして今までそうであったのかなと。
 いろいろな多様な景観が見られていて、それを今回景観条例で制定していこうというわけですが、景観条例を策定して強制力を持っていくというふうにいわれていますが、その景観条例を策定する、制定していく中で、東京都の全体的なイメージというものをまず構築しなければ、先へ進んでいかないのではないかなと。
 先ほど局長がおっしゃいました、皇居の周辺の景観のように、緑豊かな、そして落ちついた雰囲気というのも一つでありましょうし、また、そういうものをどういうふうに構築していくのか。また、この景観条例制定に対してどのように取り組んでいくのか。ここら辺のところをまずお聞かせいただければなと思いますので、お願いいたします。
○柿堺都市整備局長 ただいまのご質問、東京らしい景観整備、あり方ということだと思いますけれども、先ほども少し都心部のお話をしましたけれども、東京には歴史と風格が感じられる街並みというのがあちこちで形成されておりますし、江戸の大名屋敷を引き魅ぐような文化財庭園ですとか、歴史的な建造物も保存をされているわけでございます。また、区部と多摩の境を中心にした丘陵地ですとか崖線ですとか、河川部あるいは臨海部の水辺など、それぞれ特色ある地域、個性のある地域が多数存在をしているんだろうというふうに思っております。
 東京が持つこのような貴重な、いわば観光資源になるようなものをできるだけ保全するとともに、また新たな魅力の景観を創出するために景観条例を改正させていただきまして、具体的な景観計画を策定していく必要があるのだろうというふうに考えております。これによりまして、都市全体としての美しさ、風格あるいは潤いを感じられるような東京を目指しまして、新たな景観行政をスタートさせ、良好な景観の形成に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○中村委員 非常に意欲は感じられますが、どういったイメージを構築するのかなというのをちょっと期待していたんですが、これからということで、非常にいいものをつくり上げていっていただきたいなというふうに思うわけです。東京がどのようなイメージなのかなと、美しく潤いのある世界都市東京というものが非常に抽象的であるんですが、東京の一面というのは、これというものを決めつけていいものか、それとも、いろいろな多様なものを集約した、その多様な文化が見られるというのも一つなのかなというふうにも感じますので、その辺をあわせて今後いろいろ検討していただいて、いい東京をつくり上げていただきたいと思います。
 次に、景観条例を改正した後、景観計画を策定するというふうに聞いておりますが、策定の基本的な考え方についてお聞かせください。
○安井都市景観担当部長 今回の条例改正により、景観法に基づく景観計画の策定などに関する規定が整備されます。具体的には、景観計画の区域内において、これまで行ってきました景観基本軸や、また今後、景観形成特別地区など、東京における良好な景観の形成を推進する上で特に重点的に取り組む必要がある地区などを指定できることとしております。
 今後、東京都全域を対象といたしまして景観計画を定め、景観形成の方針などを明らかにしまして、実効性ある景観誘導を積極的に進めてまいります。
○中村委員 都として、区市町村の行政界を越えて都市全体としての統一感が感じられる景観にするためには、より強力な指導権限が必要ではないかなというふうに思われるわけです。なぜなら、来街者にとっては、区市町村の行政界というんですか、そういうものというのはほとんど意味がないんですよね。私ども、それから皆さんもそうでしょうけれども、他都市に行ったり、それから外国に行ったときに、ここからここまでは一街区ですよ、ここは何々町ですよと、そういうものってほとんどわからないし、意味がない。この通りはきれいだな、この地域は非常に落ちついた感じだな、いい景観だなというふうに、そういう物のとらえ方をするというのがほとんどだと思うんですね。そういうので、ほかの地域に行っても、そういうものって、行政界というのはどういう影響があるのかなというのを感じます。
 そこで、景観条例のこの改正案の中で第七条があります。都が区市町村に協議を求める、また、区市町村から協議を求められたときは応ずると書かれております。この条文はどのような目的で規定されているのか、これについてお答えいただきたいと思います。
○安井都市景観担当部長 第七条についてのご質問でございますけれども、景観法に基づく景観計画をつくるためには、法に定める景観行政団体になる必要がございます。今後、区市町村が景観行政団体となった場合におきましても、都の施策との整合性を確保いたしまして、東京全体として良好な景観を形成していくことを目的にこの規定を定めております。
 東京では、ただいま委員のお話がございましように、街並みが連檐していることに加えまして、首都としての景観形成が重要でございます。こうしたことから、都と区市町村が景観形成の基準を統一いたしまして、行政界を越えて施策を展開する必要があります。
 今後、区市町村が景観法に基づく景観行政団体となる場合におきましても、都が景観計画の中で明らかにする基準の共有を求めてまいります。
○中村委員 そうすると、都の役割というのは非常に大切だと思うんですね。都の指導力を十分に生かしていただきたいなというふうに思うわけです。
 次に、この条例を改正し、新たな景観行政をスタートさせる上で、景観審議会というものがございます。景観審議会の役割は非常に大事だなというふうに思うわけでございまして、条例改正後、この審議会の機能を十分に発揮させなければいけない。そのためにも、機能の充実強化が必要と考えるわけです。
 先ほど話に出ておりました事前協議制度、それから強制力を伴うようにするという中での審議会の役割で、都が変更命令を行使する場合、審議会の立場、役割、かかわり方、これも含めて、審議会の権限がどこまで及ぶのか、どのようになるのか、これについてお伺いいたします。
○安井都市景租担当部長 条例提案における審議会の機能あるいは役割についてのご質問でございますけれども、今回の条例改正では、景観法に基づく変更命令や大規模建築物の事前協議など、景観誘導において一定の強制力が発揮できる制度の創設を提案しております。
 こうした制度を公正に運用していくためには、景観の専門家など、第三者の意見の聴取が重要でございまして、条例案では審議会の機能を強化することにしております。具体的には、設計変更などの命令を行う場合に、あらかじめ審議会の意見を聴取するとともに、事前協議制度においても、必要に応じて審議会に意見を求めることにしております。
 また、こうした手続は迅速に進めることが重要でございますので、必要に応じて審議会の中に設置する専門部会を活用いたしまして、そういうことによって、新たな制度の円滑かつ適切な運用を図ってまいりたいと考えてございます。
○中村委員 ただいまご丁寧にご答弁いただきました。変更命令など強制力を発揮する場合、この審議会が関与できる、こういうことは非常に重要なことだと思います。また、今後、改正条例に基づき審議会を有効に活用して、今回、我が民主党の代表質問にもありました、そしてまた局長答弁にもございましたように、事前協議など新たな制度を円滑かつ適切に運用してもらうことを強く要望するわけでございます。
 審議会では景観計画の策定過程で意見を述べる役割もありますが、その景観計画について、条例の第八条、景観形成特別地区というのがあります。特に重点的に取り組む必要がある地域を置くことができる、重点地区を置くことができるというふうに書かれております。文化財庭園、水辺の周辺などが例示として挙げられておりますが、水辺空間の魅力向上については、以前から私も、いろいろ経済・港湾委員会等でも質問いたしましたし、一般質問でも質問いたしました。
 水辺空間、まちづくりと連動してやっているわけですけれども、それは産労局ということで、この局にはなじまないので質問を差し控えさせていただきますが、戦後、東京の商工会議所の初代会頭であった渋沢栄一さんが、東京のまちづくりということで述べられたことがありました。水の都ペニス、これは東京にも当てはまるのではないか。特に隅田川、母なる川、隅田川、そして南には多摩川、その間に日本橋川だとか神田川、いろいろな川がたくさんあるわけです。江戸時代には川遊びをして庶民が楽しんでいた、そういうのもあります。そういう東京の水辺を生かした景観づくりに、特に重点的に取り組んでいただきたい。そしてまた、その取り組むことに今回景観条例というものを当てはめていただきましたこと、これは非常に私も高く評価する次第であります。
 いろいろな局があります。担当している局が違うところもありますが、局を横断して、オール東京でこの東京の景観をつくり上げていただきたい、これも強く要望するところであります。
 そしてまた、我々代表質問、また一般質問でもありました、そしてまた、いろいろな各党からもありました、水の道、風の道、そしてまた緑の道、こういうものも都市には大事ではないか。また、先ほども話が出ました電柱の地中化、こういうものもこれから取り組んでいかなければ、都市の景観というのは総合的なものができないのではないかなというふうに思いますので、これらもどういうふうに考えていくのか、そういうものもお示しいただければなと思っているわけでございまして、特に景観形成特別地区を指定した場合、その地区にどのような取り組み方をしていくのか、その考え方をお示しいただければなと思います。
○安井都市景観担当部長 景観形成特別地区のご質問でございますけれども、今回の条例案では、文化財庭園周辺や水辺の周辺など、東京における良好な景観の形成を推進する上で特に重点的に取り組む必要がある地区を景観計画の中に定めることができるとしております。
 このような地域におきましては、地域の特性に応じた景観形成を図るため、一般の地域よりもきめ細かな景観誘導の基準を設定いたします。
 今後、建築物や工作物の色彩、隣棟間隔などの景観誘導と、屋外広告物条例に基づく広告物の規制を一体的に実施いたしまして、良好な景観の形成を図ってまいります。
○中村委員 次に、今話に出ました屋外広告物条例の一部改正についてお尋ねいたします。
 常日ごろから、東京における広告物のはんらんと統一性のなさ、これはひどいものがあります。自分のところだけの看板が目立てばいい、そういった広告がかなり多く目につくわけでございまして、それらが都市の美観、景観、こういうものを損なう、そういうような現状であります。
 このたび、条例改正の中で、文化財庭園などの周辺の景観規制を具体的にどのように進めていくのか、これについてお伺いいたします。
○安井都市景観担当部長 文化財庭園などの周辺の規制ということで、特に広告物についての観点からご答弁申し上げます。
 東京には我が国を代表する文化財庭園がございまして、これらの周辺では、近年、高層マンションや業務ビルなどが増加しております。その中には、建築物の色彩や屋上の広告物の表示が、庭園内からのぞくとそぐわないといった例も見られます。
 都は、今後策定いたします景観計画の中で、文化財庭園などの周辺を、先ほどご説明いたしました景観形成特別地区に指定できるように景観条例の改正を提案しております。景観計画を策定する中で、今後、屋外広告物の規制区域や表示方法の基準を明らかにしてまいります。
○中村委員 そうですね。ぜひ取り組んでいただきたいなというふうに思います。
 特に盛り場での広告物は目に余るものが多いわけです。特に刺激的なものが多く、青少年の健全育成、こういうものにも非常に悪影響を与えるような広告表示がされているわけですね。特に盛り場というのは、地域をいうといろいろ語弊がございますから、地域名は差し控えますけれども、本当に夜歩いていて、女子または少年、青年が刺激を、興奮してしまうというような、そういうような広告もあります。また、路上の置き看板、捨て看板、こういったものもはんらんしている。非常に歩きにくいし、また、歩いていて不快感を覚える、こういうのが盛り場に多く見受けられるわけですね。地域によってそれぞれ違うでしょうけれども、路上の放置看板なども非常に目に余るものもあります。
 私の選挙区は台東区なんですけれども、その上野地域では、商店会が毎月一回清掃をしております。商店会挙げて清掃をしている。そのときに、行政というか警察の協力を得まして、放置看板、それから放置自転車、そういうものの撤去のお願いをしているというふうに行動しているわけなんですけれども、そのときは撤去してくれる。それから、ある商店では、何が悪いんだ、あなたたち、何をそこまで強制力があるんだというように文句をいってくる会社もあるわけですね。または、本社へ行って聞いてこなきやわかりませんとか、そういう逃げを打つ。
 特に、障害を持たれた方が点字ブロックの上を歩いている、または車いすで走行しているときなんかにも、放置看板がそこに平気で置かれている、そういうようなのが現状でありますし、そのまた放置看板が、非常に俗っぼいいい方ですけれども、けばけばしい、そういうような事例も多々あるわけです。
 商店街の人たちが熱心にまちをきれいにしよう、まちの景観を構築していこうという非常に熱意のある人たち、こういうものも東京都では当然応援していかなければいけない、そういうように考えるわけですけれども、行政、こういうときこそ、区市町村と東京都の連携とか、そういうものも出てくるのではないかなと思われますが、東京都としては、このような商店街の取り組んでいる姿、姿勢に支援をできるのか、また、していっていただきたいと思うわけですけれども、どういうふうにお考えでしょうか、見解をお聞かせください。
○安井都市景観担当部長 都は、毎年十月に、区市町村や道路管理者、警察、地元商店会や不動産業界などの多様な方々と協力いたしまして、道路上に放置された捨て看板などを集中的に撤去する共同キャンペーンを実施してございます。
 このように、都民や企業、行政が連携して捨て看板を撤去するという取り組みは、道路上の違反広告物をなくす上で効果があると考えております。
 このため、今後とも、共同除却キャンペーンなどをきっかけに、地元自治体や道路管理者、警察との連携強化を図っていくよう努めまして、地元の活動を支援して、違反広告物のないきれいなまちを実現していきたいというふうに考えてございます。
○中村委員 非常に積極的なお話を伺いました。非常にうれしいなと思います。
 ただ、これからが大切、大事なところになっていくわけです。十年後には東京でオリンピックが再びできる、私はそう信じております。そのような観点からも、東京に来られる来街者の方、国内から来る方、そしてまた外国から来る方、この方々が、東京っていいまちだな、東京のまちって、一言であらわすとこういうまちなんだよといえるような、そういうようなまちづくりといいますか景観づくり、こういうものをぜひ取り組んでいただきたい、このように強く切望、要望して、質問を終わります。ありがとうございました。