平成17年
第三回定例会

-平成17年9月27日(火)-

  
○中村明彦 
私は都議会民主党を代表して、都政の主要課題について、知事並びに関係局長にお伺いいたします。
 まず、冒頭に一言述べさせていただきます。 七月の都議会議員選挙では、多くの都民の皆様のご支持をいただき、前回を十三議席も上回る三十五名の公認候補の当選を果たし、都議会第二党に躍進することができました。都民の皆様方の温かいご支援に改めて御礼を申し上げる次第でございます。
 しかしながら、さきの衆議院選挙におきましては、郵政民営化に争点を絞り劇場型の選挙を行った小泉総理の前に、大敗を喫することになってしまいました。私たちは、この敗北を大きな試練として今後も精進を重ね、この総選挙に際して寄せられた二百万都民の皆様のご支持を忘れることなく、政権獲得に向けて再度チャレンジしてまいります。
 以上、私どもの決意を述べさせていただき、質問に移ります。
 最初に、今後の都政運営について伺います。
 まず、来年度予算の編成方針についてであリます。
 最近の企業収益の好転を受けて、都税収入は今後も堅調に堆移することが見込まれまれます。一度は底をつきかけた基金の積み増しも進み、財政的には一息つける状態となったといえます。
 こうした中、今都がやるべきことは、過去の都政運営の中で膨れ上がってきた負の遺産を、この際、思い切って清算することだと考えます。バブルに踊り、三セクを中心に膨れ上がらせてきた返すに返せない大借金、それをいたずらに先送りせず、きっちり清算することにこそ、今生じた財政的余裕を投入するべきなのであります。
 しかるに都は、七月二十六日に各局に示した平成十八年度予算の見積方針で、平成十七年度予算額の範囲内で所要額を見積もるとして、前年度予算と同額まで予算要求を認めるゼロシーリングの方針を打ち出しました。これまで続いてきたマイナスシーリングを転換することで、都は積極的な財政運営へとかじを切るのでしょうか。今回の見積方針が、二十四年ぶりにマイナスシーリングを回避と大々的に報道されたことで、都庁内外には、予算の増額や新規事業への期待が高まっております。
 そこで、このマイナスシーリング回避の意味と見積方針の真意はどこにあるのかをお伺いいたします。
 また、重要施策二〇〇六 (仮称) の策定についてでは、平成十五年度から平成十七年度までの重点事業の検証と平成十八年度の重点事業案の作成が指示されました。とりわけ重点事業案については、平成十八年度から平成二十年度までの三ヵ年の展開、方向性を明らかにすることを各局に求めております。重点事業といいながら、その年ごとに打ち上げられる花火のようになってしまっている現状から見れば、向こう三カ年の展開や方向性が示されることは一歩前進だと思います。
 しかしながら、各局は既に、今後の社会変化を見通した長期的な基本方針の策定を視野に入れ、動き出しております。例えば七月に財務局が発表した「都財政が直面する課題」では、人口減少、少子高齢化の社会の下で、将来にわたり安定した財政運営を行うために、長期的視点から財政運営のあり方を検討する時期に来ていると提言しております。同じく七月に発表された、総務局の「都におけるマンパワーの動向と今後の方向」でも、今後の都の人材育成に関する基本方針の策定が示されております。
 各局がこうした取り組みを進めているときに、これらを束ねる都全体としての新たな長期計画策定への取り組みが見られないのは残念であります。都政の基本的指針として長期計画を示し、その中に実施計画、単年度予算を位置づけるという当たり前のことを行うことが、都政の未来に向かって職員のモチベーションを高めることにもつながります。社会構造の大きな変化を路まえ、都における新たな長期計画の策定に取り組むべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、都区財政調整に関する主要五課題の協議に関してお伺いいたします。
 去る七月二十六日、都区財政調整協議会が開催され、二年余りに及ぶ都区検討会の検討結果の報告がなされました。しかしながら、その内容は、すべての課題について前向きな合意点を見出せず、大きく乖離した都区双方の見解を併記したにとどまっております。
 その原因は、平成十二年の都区制度改革によって法制度上確立した都と区の役割分担の原則にのっとり、現実の分担関係を明確にし、それに基づく財源配分を求める特別区と、従来より都が行っている事務の多くを大都市事務と位置づけ、かつ調整三税が都税と位置づけられていることから、現実の特別区の需要に応じてこれを配分するとする都の立場の違いにあります。
 私たち民主党は、この主要五課題の協議については、機関委任事務を廃止した平成十二
年の地方分権一括法の趣旨を踏まえ、特別区を基礎的な地方公共団体と位置づけた改正自治法の原則に沿って整理されるべき課題であると考えます。すなわち、府県事務と市町村事務を仕分け、市町村事務は原則特別区の事務として、その事務のうち、都が一体的に処理することが必要であると認められる事務のみを都が行う大都市事務と位置づけ、この分
担割合に応じて財源配分を行うべきであります。
 決着に向けて残された時間はわずかであります。都もこうした原則的な立場に立ち返って、膠着状態にある都区協議を打開する姿勢を持つべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 平成十二年改革において積み残された課題については、以上の原則的な立場に立って整
理されるべきですが、さらにその上に立って、中長期的な視点に立った大都市行政のあり方等についても早期に検討されるべきであります。既に特別区制度調査会では、特別区の存する区域にふさわしい新たな自治制度について検討が行われており、この十月にはその報告がなされることになっております。こうした特別区も含めた東京圏の自治体のあり方、大都市行政のあり方、国との関係の整理、税財政制度のあり方については平成十二年以来の課題であり、私たちも再三指摘してきたところでございます。
 知事は、さきの所信表明において、自治制度から行財政システム全般にわたる改革を一体的に取り組むための新たな指針を、十一月を目途に明らかにするとし、さらに、今後、広域連携や基礎的自治体との関係をも踏まえた大都市行政のあり方について、外部の専門家も交え、地に足のついた議論を通じて東京発の自治論を展開するとされました。
 そこで伺いますが、知事はこれらの課題にどのような姿勢で臨まれるのか、所見をお伺いいたします。
 次に、防災対策について伺います。
一昨年以来、全国各地で大規模な地震や豪雨災害が相次いで発生し、防災に村する国民の関心は非常に高まっております。ことしは、七月二十三日に千葉県北西部地震、八月十六日に宮城県南部地震、さらに九月四日には集中豪雨が都内各地に被害をもたらし、防災意識の高まりは、都民においても例外ではありません。
 民主党は、さきの都議会選挙において、震災対応力の強化をマニフェストの最重要課題に掲げましたが、石原知事も今定例会初日の所信表明において、都の直面する課題の筆頭として災害への備えを掲げており、その重要性に対する知事の認識を鮮明に読み取ることができました。
 そこで、まず、防災対策に取り組む知事の決意について、改めてお伺いいたします。
 これまでも都は、防災対策についてさまざまな施策を展開してきております。しかしながら、さきの地震や豪雨では、まだまだ課題があることが改めて浮き彫りになりました。例えば震災においては、震度データの送信システムの不備、超高層ビルと長周期振動との共振現象、エレベーターの閉じ込め問題、地下鉄のストップによる大量の帰宅困難者など、そして集中豪雨による浸水被害においては、河川や下水道整備をする上での想定降雨量が現実の雨量と乖離していたことなどが、連日のように各種メディアで指摘されております。
 こうした課題に対して、震度送信用サーバーの増設及びシステム全体の見直し、八都県市による大手コンビニ等との災害時支援協定締結、住宅金融公庫との災害時の住宅復興協定の締結など、都が可能なところから一つ一つ対応していることは、私たちも評価するものであhリます。
 しかしながら、これらはあくまでも対症療法的な対策であり、小手先の対応にすぎません。この一連の災害で浮き彫りになった課題を改めて整理し直した上で、被害想定や総合的な防災対策の総点検、見直しを行うことが必要と考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、震災対策に絞ってお伺いいたします。
 震災対策で最も効果的なのは、何よりもまず、建物や土木構造物の耐震性強化のようなハード面での強化、改善であります。いわゆる減災という考え方です。この都市の減災化にとって最大の課題は、民間建築物、特に耐震性に問題のある昭和五十六年以前の木造住宅の耐震化の促進です。私たちは、今年第二回定例会でも、また東京マニフェストにおいても提案いたしました、耐震改修促進のため、専門家による無料の耐震診断、耐震改修に対する補助などの制度の創設が、都においてもなされるべきだと考えます。
 例えば、住宅耐震化の促進の取り組みが先進的といわれている自治体として、静岡県がTOUKAI−0と名づけられた施策に取り組んでおります。これは、専門家による無料の耐震診断を行い、耐震補強計画を作成し、耐震補強工事に三十万円の補助を出すというものであります。木造家屋の耐震補強を促す一連の流れをつくり出しております。
 もちろん、制度をつくっただけでは活用されないのも現実で、静岡県の場合でも、当面の目標一万棟に対し、これまでの耐震補強の実績は三千三百棟にとどまっております。しかし、新潟県中越地震が発生した昨年は、申請件数が前の年の二倍に急増するなど、防災意識の高まりにつれて、次第に効果があらわれるようになっております。
 このような民間の昭和五十六年以前の木造住宅の耐震化促進策について、所見をお伺いいたします。
 震災対策に限らず水害対策にも共通するのが、被災した際の初動態勢と復旧体制の確立です。行政としての危機管理体制の一層の強化は、知事も所信表明で述べられているところであり、今後の引き締めに期待しているところであリます。
 しかしながら、一方で都内各地域における被災時の防災カは、まだまだ不安があるように思われます。そのためには、東京マニフェストでも提案したように、防災ボランティアとの連携強化、住民参加型の防災訓練による防災コミュニティの育成など、日常的なソフト的での対策を早急に強化していくことが求められます。こうした被災時及び被災後の体制強化について、所見をお伺いいたします。
 次に、浸水対策についてです。
 これまで都では、治水対策として、一時間五〇ミリの雨に対処できるよう、施設の整備を進めてきました。しかし、九月四日には、一時間一〇〇ミリを超える豪雨により、中野区や杉並区を中心に、床上、床下浸水合わせて五千戸を超える被害が生じてしまいました。こうした中、都は、被災地である中野区と杉並区に災害救助法を適用し、被災者や被災企業に村して、固定資産税など都税の減免や災害援護資金の貸し付けなど救済措置を迅速に決定しており、このことについては一定の評価をいたしております。
 今後は、浸水被害の再発防止に向けた取り組みが重要となります。例えば、都が作成した平成十二年東海豪雨並みの一時間最大一一四ミリの雨量を想定した神田川流域浸水予想図と、今回実際に浸水した地域との比較検証が必要です。杉並区は、想定していない区域で浸水被害が発生したとして、区の洪水ハザードマップを見直すことを明らかにしております。
 さらに、災害救助法の適用された中野区、杉並区の要望を踏まえて、河川改修の前倒し実施など、浸水被害の再発防止に向けた対応策が早急に講じられるべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 昨年十一月の公営企業委員会で、杉並区選出の我が会派の田中議員が、近年では一時間一〇〇ミリを超える雨が増加傾向にあることから、浸水対策の想定雨量見直しの必要性を指摘したところ、下水道局は、一時間五〇ミリを超える雨への対応は困難であるとの見解を示しております。
 そもそも一時間五〇ミリの雨量に対応する施設の整備が完了しているのは区部の六割にすぎませんから、一〇〇ミリを超える雨への対応といっても、今すぐには難しいのはわかります。ただ、対応しなければならない雨量は、地域によって異なるはずであります。三○ミリ対応でも十分な場所もあるでしょうし、逆に一〇〇ミリ以上の雨への対応を整えておかなければならない場所もあるはずであります。そうした精査を直ちに行った上で、必要な場所に必要な整備を行うというめり張りをつけるべきではないでしょうか。
 これまで都内一律五〇ミリ対応としていたことは、果たして妥当であったのかどうかという再検討や、避難対策の再点検と強化など、都市型集中豪雨への対応策を含めた総合治水対策について、抜本的に見直す必要があると考えるものですが、所見をお伺いいたします。
 次に、談合体質の改善についてお伺いいたします。
 昨年十月、鋼鉄製橋梁工事の入札に関して、公正取引委員会が関連業者等への立入検査をしたことに端を発し、国土交通省が発注する橋梁工事での談合が発覚いたしました。また、日本道路公団が発注する橋梁工事では、公団役員や天下りした公団のOBが関与する極めて悪質な官製談合の実態が白日のもとにさらされました。これらの事件に対して、多くの国民が天下りへの怒りを募らせ、この国の談合体質の根深さに嫌悪感を覚えたのではないでしょうか。
 そしてまた、立件対象とはならなかったものの、都が発注する橋梁工事についても談合疑惑が報じられ、例えば今議会に提案されている日暮里・舎人線なども、高い落札率であることが多く、疑念を抱かれても不思議ではありません。また、公取委が検査に入る直前の昨年九月の時点で、今回摘発された談合組織四十七社のうち三十社に都のOBが天下りしていることも、この疑惑に拍車をかけております。
 このように東京都発注の公共事業についても、必ずしも疑惑がないとはいい切れない中にあって、都としても、あらゆる手だてを講じて談合体質の改善に取り組んでいく必要があります。私は、都職員の天下り禁止やOBの営業活動の禁止、入札制度の見直しや議員の口きき情報の公開などの手だてを積極的に講じて、談合体質の改善に徹底的に取り組んでいくべきと考えますが、石原知事の所見をお伺いいたします。
 日本道路公団の事件では、天下りOBの関与が大きな問題となりましたが、都の職員についても、天下りを原則禁止していくべきであります。現在、都は、局長級職員については、退職前五年間に担当した仕事に関連した民間企業への天下りを退職後二年間は禁止することなどの基準を定めております。しかし、今回の事件を受け公団では、役員については、関連企業への再就職を無期限禁止、管理職については、離職後五年間の再就聴禁止などの談合防止策を発表し、国交省でも、談合事件に関与した企業への再就職の自粛、幹部職員については、公共工事を受注する企業への五年間の自粛などを発表しております。
 都の職員が、技術力や管理能力などのスキルを生かし再就職していくことは、東京の活力向上のためにも大いに役立つものと考えますが、受け入れ側の企業が都庁への営業活動を期待して受け入れている実能がある中で、少なくとも関連する企業への再就職については原則禁止するなど、より厳しく規定していくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 入札制度の見直しでは、一般競争入札の拡大などが有効であります。ここではコンストラクションマネジメント、いわゆるCM方式の導入についてお伺いいたします。
柿沢議員がさきの予算委員会でも提案しておりますが、CMとは、建築工事に当たって、発注者の立場に立つ代理人、第三者を介在させて、業者の選定から価格交渉、資材調達、施工管理など、工事、コスト、工程をまとめて管理させるという手法であります。都は、柿沢議員の質問に村して、CM会社と東京都のリスクの分担方法、CM会社の選定基準、CM方式に適する工事の種類の選択など、きまざまな課題があり、今後、幅広く研究していく旨、答弁をしております。
 しかし、国交省が二〇〇二年二月にCM方式活用方ガイドラインを策定したことなどにより、既にCM方式の導入に踏み切っている自治体も見られ、また、都の監理団体、東京都地下鉄建設でもCM方式の採用事例が見られます。
 私は、発注のプロセスを透明にしていくことは、私たちが納めた税金の使われ方をチェックしていく上でも極めて重要であると考え、このような意味からも、CM方式の導入について、さらに前向きな取り組みを求めるものであります。見解をお伺いいたします。
 また、情報公開の推進を通じて、私たち議会と行政との関係も、健全で明確なものにしていく必要があります。日本道路公団による談合事件では、一部マスコミが、受注社の孫請に入ったダミー会社が政治家向けの裏金をつくつているなどと報じていましたが、このような疑念を抱かせないためにも、未然の策が必要であります。
 私たち民主党は、東京マニフェストにおいて、口きき行為の情報公開を提案いたしましたが、これは、私たち都議会議員が地域活動などで受けたさまざまな意見、要望を役所に取り次ぐに当たり、その要望が公文化されることを通じて、情報公開の対象にしていくというものであります。既に鳥取県や高知県などにおいて、このような制度が実現されております。都においても、一部口ききは記録きれているものの、制度化されたものではありません。
 私は、政治と行政の癒着を未然に防止する意味からも、口ききを公文書化し、情報公開の対象としていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、監理団体、特に陸海関連三セクについて伺います。
 今定例会には、民事再生計画案を提出している東京ファッションタウン株式会社及び株式会社タイム二十四の債権放棄が提案されております。再生計画案では、東京ビッグサイトが二社を吸収合併することなどが大きな柱となっていますが、しかし、そもそもの疑問として、こうしたビル事業については、本当に都が出資する監理団体が携わっていく必要があるのでしょうか。私は、監理団体こそ談合体質、官僚支配の象徴であり、監理団体の役割と都との関係を明確にしていく必要があると考えます。
 東京ビッグサイトは、都が七三・五%を出資し、役員の大半も都のOBが天下りしているという、破綻した二社以上に都との関係が強い監理団体であります。こうした監理団体がビル事業を引き絶ぐことについては、甚だ疑問であります。
 また、監理同体の甘えの構造、例えば都の関連する団体がテナントとして入居してくれる、倒産しても都が救済してくれるなどという甘えの構造を断ち切らなくては、同じ過ちを繰り返すことにさえなりかねません。
 破綻した二社については、都は、出資しているが民間事業者が主体的に設立したものだと、その都度、都合よく説明をしてきました。であるならば、都が主導的に再生計画案をつくるのではなく、民間事業者の自己責任、自助努力にゆだねられるべきであります。
 今画の再生計画も、まず東京ビッグサイトありきではなく、本当に都が関与してビル事業を絶続する必要があったのかも含めて検討すべきであったと考えますが、見解をお伺いいたします。
 仮に事業が再生するまでの間、都の監理団体によってピル事業の継続が図られることを是とするとしても、破綻に至った原因を究明し、それを総括しなければ、民事再生計画も絵にかいたもちになりかねないと考えます。
破綻した二社は、平成十二年度に経営改善策を策定していますが、なぜ経営改善策を策定しながらも破綻という結果を招いたのでしょうか。経営改善策以降、サブリース方式という形でこの二つのビルを運営してきたのは、ほかならぬビッグサイトなのであります。平成十四年十二月には臨海高速鉄道が全線開業するなど、テナント料改定のチャンスもありましたが、結局のところ、ほほ満杯に近いテナント入居率でありながら、今日の経営破綻を招いているのであります。
 都は、経営改善策における失敗をどのように総括しているのか。また、民事再生計画の実効性の確保についてどのように考えているのか、見解をお伺いいたします。
 また、港湾局が所管する臨海三セクについても、法的整理を含めた処理が必要であると考えます。石原知事は、四月一日の定例記者会見でも臨海三セクは営業黒字を出すなど、破綻した二社とは違う旨述べられました。しかし、来年三月期からは日本でも減損会計が適用され、投資額の回収が見込めない建物などの固定資産の帳簿価額を減額することになれば、これまでの含み揖が一気に損失として計上されるのであります。
 そもそも私たちは、赤字だからだめで、黒字だからよいという理屈を超越して、民間でできることは民間でという視点から、ビル事業の見直しが必要であると考えます。例えば、東京臨海副都心建設株式会社が所有する三棟のフロンティアビルの意義は何なのでありましょうか。建設当時、東京都は、臨海副都心の都市づくりの誘導的役割を果たすためにも必要だつたと説明しているようでございます。万が一そうした意義があったとしても、もはやその役割は終わっております。下水道中枢ポンプ所などの供給処理施設が地下にあるので困難だという理屈も、後楽園の下水道ポンプ所の上を森ビルが利用している事例などを見れば、理由にはなりません。
 このように、都が全くかかわる理由がないビル事業を都が監理団体を通じてかかわるという構図は、事業の赤字、黒字を超越して早々に見直していくべきと考えぜすが、見解をお伺いいたします。
 次に、次世代育成支援について伺います。
 私たち民主党は、都議会選挙において掲げた東京マニフェストの中で、幼保一元化や子ども手当の上乗せなど、総合的な子育て支援策を訴えてきました。各党の選挙公約でも子育て支援が重要課題に位置づけられたことを考えれば、都は、これまで以上の大胆さを持って総合的な子育て支援策を推進していく必要があります。
 中でも次世代育成という観点からは、単なる子育て支援にとどまらず、若年者雇用などの取り組みが不可欠であります。ことし八月に発表された国民生活白書では、一定の経済力を下層ると子どもたちを持ちにくくなると分析した上で、少子化の背景の一つに、パートやアルバイトで生活する低所得の若年者の増加を挙げております。
 少子化は先進国の一般的な傾向ではありますが、現在の日本においては、不安定雇用や数百万ともいわれるフリータ、ニートの増加により、将来の雇用や生計の見通しが立たない若年者が大量に存在することも、少子化に拍車をかけております。安心して子どもを産み育てられる社会づくりの観点からも、こうした若年者に対する支援が必要と考えますが、見解をお伺いいたします。
 都内の子育て家庭の状況を見ますと、六歳末満の子どもを育てている家庭の実に九〇%が核家族です。地域社会の支え合いと接点を持たない人がふえており、子育て家庭の孤立化が進んでおります。だれにも子育てのことを相談できず、ひとりで思い悩むケースがふえているのであります。もはや今までのように保育所を整備すれば事が足りるという時代ではなく、働く親だけではない、子どもを持つ親だれもが必要に応じて利用できる支援を行うことが必要とされております。
 地域で必要な支援には、日ごろから気軽に悩みや疑問の相談ができる場所、やや具体的な相談に対処する場所といったNPOなど民間と連携して進めるべを課題、虐待など子どもの安全や生命にかかわる問題で公的機関が責任を持って対処すべき課題などなど、さまざまなレベルがあります。これらのさまざまなレベルのニーズを受けとめ、子育て支援体制を充実させていくために、どのように取り組まれるのか、お伺いいたします。
 施策について二点申し上げましたが、次に、制度に係る改革について申し上げます。 私たちは、すべての子育て家庭を対象とした支援を実現するためには、財政面の改革を抜きにして語ることはできません。財政の厳しい中、補助金を出す以上は、コストパフォーマンスを追求し、サービス向上やコスト削減の努力をしようとしないぬるま湯体質を生み出さないようにしなければなりません。
 また、保育所は、大切な子どもが日中のほとんどを過ごす場所であるにもかかわらず、現在は利用者に保育所の選択権がありません。サービス水準がどうであろうと、原則として役所が決めたところへ我が子を入所させなければならないのであります。待機児童も多い中で、ともかく入所できればよいというのが現状です。認可保育所は国の制度ですから、根本的には国の改革が求められる課題ですが、自治体としてできる改革はあります。東京都の認証保育所では、直接契約制度が実現しており、保護者の選択が可能となっておりますが、保育料の高さから、すべての人が持ち得る選択肢ではありません。また、家庭で子育てをしている親からの要望が多い一時保育などにも、東京都が施設に対する補助金を設けていますが、実施が進んでおりません。都民が必要としているサービスに対してお金が使われていないのです。
 私たちは、こうした状況を変えていくためには、施設に対する補助から一定額を個人に対する補助に転換して、利用者側にイテンアチプを移すことが必要であると考えます。これを実現するのが、個人を対象とする使途制限のある補助金であるバウチャー方式であります。古典的な形では、クーポン券の配布方式があります。現在では、IT化の進展で磁気またはICのカードを活用したり、さらには情報のやりとりのみで、物理的に券を交付せずに対応することも可能であります。限られた予算から出す補助金を生かすやり方として、バウチヤー制度の検討を行い、実現を目指すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、消費者行政についてお伺いいたします。
 まず、深刻な状況となっている高齢者の被害についてであります。ひとり暮らし高齢者や高齢者のみ世帯が多い東京都では、お年寄りが点検商法などを行う悪質業者の格好のターゲットとなっております。高齢者の被害相談が年々激増しており、悪質業者につけ込ませない環境づくりを進めていかなければなりません。
 こうした被害を防ぐには、まずは高齢者自身が気をつけて被害を防ぐことです。そのためには、例えば在宅介護支援センターや福祉事業者、民生委員、町内会、老人会などを対象とした、最近の消費者被害に関する研修の機会を持つことが必要と考えております。この点についてどのように取り組むのか、見解をお伺いいたします。
 同時に、高齢者自身が予備知識を持ち、警戒することだけでは防ぎ切れない巧妙、悪質な業者による被害を防ぐための方策も必要であります。消費生活センターに持ち込まれた相談が終了し、解決した後でも、一度被害に遭った方はねらわれやすくなり、繰り返し似たような被害に遭う傾向もあるようであります。継続した情報提供を行うことや、判断能カの低下が見られる人には、福祉事業者、民生委員などによる見守り、さらには財産管理や身上監護を支援する成年後見制度の利用を促すことも有効であると考えられます。
 とりわけ、成年後見制度の活用は、一度被害に遭った方をねらう次々契約などによる多額の被害を防ぐ上でも有効です。制度は支援の程度によって補助、補佐、後見に分かれており、最も軽易な支援を行う補助をつけるだけでも悪質業者に対抗した法的手続がしやすくなります。法制度を積極的に活用していくためには、成年後見制度を担う専門家からも助言を受けて対応を進めていく必要があると考えます。
 高齢者の生活に密接にかかわる福祉と消費者行政との連携については、どのように取り組むのか、お伺いいたします。
 消費者被害は高齢者以外も遭遇しております。数年前から携帯電話などの架空請求問題が表面化し、多くの若い世代も被害に遭っております。消費者被害は、手をかえ品をかえ、都民に襲いかかっているのが現実です。こうした実態に対応するため、都は、架空請求問題に対応するため緊急対策斑を設置したり、リフォーム契約トラブルに対応するため特別相談を実施するなど、その対策を講じていますが、急増する消費者被害に追いついていないのが現実であります。
 第十八次の東京都消費生活対策審議会の答申では、さまざまな団体との連携が打ち出されました。私たちも、次々と新たな手口で襲ってくる悪質業者に対抗していくためには、これまでの枠にとらわれず広く連携して架空請求などの対応を進めていくべきと考えます。そこで、連携についての見解をお伺いいたします。
 さらにもう一つ申し上げておきたいことがあります。消費生活総合センターの相談時間についてであリます。
 現在、消費生活総合センターの電話相談の受け付け時間は午前九時から午後四時までで、しかも土曜、日曜、祭日は休みであります。架空請求相談の電話については、四月から受け付け時間を延長したというものの、それでも午後五時までになっただけです。平日の九時から五時まででは、昼間仕事をしているサラリーマンは、一体いつ相談すればいいのでしょうか。しかも電子メールによる相談も受け付けてはいないのであります。これではお役所仕事と批判されても仕方がありません。消費者被害に悩む都民の相談を受ける体制としては驚くばかりの不十分さです。一日も早く十分な相談受け付け体制を整えることを強く求めておきます。
 若者から高齢者まですべての消費者の被害を防止し、よりよい消費生活を実現していくためには、消費者自身が力を蓄え主体的な行動をしていくことが必要であります。消費生活条例で都が先駆けて打ち出した自立した消費者ですが、国も後を追う形となりました。消費者行政は、ただ消費者を保護するだけではなく、市場のプレーヤーとして主体的に行動できる自立した消費者と協働し、よりよい消費生活の実現を図る時代となっております。
 しかし、実際には、高度化し多様化している社会の中で、消費者の側にそうした役割を主体的に担っていく情報や知識は十分でしょうか。自立した消費者の実現に向け、どのような育成政策が自立化時代の政策として適当なのか、議論はさまざまあります。私たちは、まず知識を持つ消費者を育成することが必要であると考えます。見解をお伺いいたします。
 次に、アスベスト対策についてお伺いいたします。アスベストによる健康被害が次々と明らかになる中で、都民のアスベストに対する不安も広がっております。政府もようやく重い腰を上げ、被害者への補償、救済を初めとする対策に取り組もうとしております。しかし、政府による過去の対応の検証が不十分である上に、省庁による縦割りの弊害を考えると、甚だおぼつかない内容となりそうであります。
 石原知事は所信表明で、政府の対応のおくれがアスベストによる健康被害を拡大しているとの認識を示した上で、国に猛省を促し、抜本的な対策を求めていくと述べられました。私も、全くの同感であります。そこで、都としては、国の対策が早期に、かつ十分に講じられることを強く追っていくべきと考えますが、石原知事の見解をお伺いいたします。
 都内には現在はアスベスト関連工場はないと開いております。したがって、都での重要な課題は、今後ますます増加する解体建築物の飛散防止対策であります。都では、環境確保条例において、建築物の解体時における規制対象施設を吹きつけアスベストの使用面積が十五平米以上とするなど、国の大気汚染防止法よりも厳しく規定しております。国もようやく大気汚染防止法の対象の拡大などの検証を始めたようですが、都が実施している建築物解体工事への立入検査や周辺環境調査については、さらなる徹底が求められます。建築物解体時には適用される法令も多く、所管も国、都、区市と多くが関連していることから、解体に伴う飛散防止措置を徹底するためには、これらの機関が連携を強化し、万全な安全対策を講じるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 建設物の解体時だけではなく、建物内のアスベストの揖傷や劣化による飛散、あるいは地震被災時の飛散のリスクを未然に防止するためには、あらかじめ建築物のアスベストの使用状況を把捉しておく必要があります。
 現在、国のかけ声のもと、民間の社会福祉施設や私立学校においても全国的な調査が進んでおりますが、特に国土交通省から各都道府県に依頼が来ている一千平米以上の建築物の調査については、その数も膨大で、ややもすると限定的で不十分な調査に終わることが懸念されます。
 今回、都は、民間の建物などがアスベストの使用状況などを点検する際に活用できるアスベスト点検の手引を作成いたしましたが、その内容は、広範なアスベスト材料を対象とするなど、有効性の高いものであると聞いております。私は、民間の建物のアスベスト対策が早急に進むよう、この手引を大いにPRし、活用を図ることと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、都庁舎におけるアスベストについてお伺いいたします。
 都がアスベスト対策大綱を策定したのは、平成元年五月のことでありました。民間にアスベスト追放をお願いする一方で、当時建設中の東京都庁の第二庁舎で大量のアスベスト建材が使われていることが大きな問題となりました。このことは、平成元年の九月議会で、自民党以外のすべての会派が代表質問で取り上げていることから、ご記憶のある方もいるのではないかと思います。
 当時の議事録を読み返してみますと、都の見解としては、いわゆる吹きつけアスベストとは違うスポンジ状の石綿発泡体なので、飛散のおそれはほとんどないというものでした。しかし、都庁舎においては、外壁のひび割れや落雷による外壁の落下など、予期せぬ出来事も起こっており、また、外壁シールの更新など、緊急的な改修が必要な状況にあるようでございます。ましてや、アスベストの使用がこれだけ大きな社会問題となっている中で、都としてもいま一度都庁舎におけるアスベストの状況を点検し、万全を期すべきであると考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、アジア大都市ネットワーク21についてお伺いいたします。
 石原知事の提唱により、東京を初めとするアジアの大都市が連携し、新技術開発、環境対策、産業振興など共通の課題に取り組むアジア大都市ネットワーク21を形成しています。従来の儀礼的な友好関係にとどまらず、多数の都市が参加する国際的ネットワークによって、具体的な共同事業を推進し、その成果をアジア地域の繁栄と発展につなげていくことを目的とする新たな形の都市間外交であると考えます。
 平成十三年に第一回総会が東京で開かれてから既に四年が経過し、中小型ジェット旅客機開発の取り組みなどが進められていますが、その成果が見えないとの声もあります。東京都は、これまで取り組んできた事業とその成果についてどのように評価しているのか、所見をお伺いいたします。
 ところで、ことしネットワークの総会を開催する予定であった北京市が去る八月三十日に突然ネットワークを脱退したため、北京総会は当然に中止となりました。知事は直ちに台湾を訪れ、馬英九台北市長と会談し、来年開催予定であった台北総会を半年前倒しで開催することで合意されました。
 しかし、アジアを代表する大国の一つである中国の首都北京市の脱退は、アジア地域の繁栄と発展を目指すアジア大都市ネットワークの活動に重大な影響を及ぼすことになります。来年一月を目途に稼働する感染症対策ネットワークシステムにおいても、北京市の脱退は新興感染症の発生の予防や早期制圧にとって大きな痛手であります。重要な構成員であるこの北京市の脱退を受けて、今後のアジア大都ネットワークをどう展開していくのか、知事の所見をお伺いいたします。
 最後に、東京オリンピックについてお伺いいたします。
 知事は、さきの所信表明において、成熟した都市の姿を世界に示し、改めて日本の存在をアピールする絶好の機会になるとして、二十一世紀の東京オリンピックを招致することを表明されました。
 オリンピックは、スポーツ選手が国を代表して競技する、文字どおり世界最高の舞台であり、応援する国民にとっても夢と感動を与える最大のスポーツイベントであります。しかし、オリンピックを高く評価する人々の間にも、これを東京に招致することについて、さまざまな課題を指摘し、疑問視する声もあります。
 例えば、招致活動についてですが、大阪市は四十億円以上の費用をかけて招致活動を行いましたが、かないませんでした。現実問題として、二〇〇八年に北京オリンピックがあるのに、その八年後にまたアジアにオリンピックを持ってくることができるのか。さらに、仮に開催が決定した場合、二〇一三年多摩国体に続く二〇一六年のオリンピックの施設の整備にかかる巨額の財政負担をどうするのか。そもそも、経済的メリットの有無にかかわらず、オリンピックを日本で、さらに東京で開催する意義があるのかどうかなどなどであリます。
 オリンピックを東京に招致するためには、これらのさまざまな疑問に答え、政府の全面的なバックアップと都民、国民の合意を築いていくことが重要であります。知事は、二十一世紀の東京オリンピックについて、このような課題をも克服し実現すべきどのような意義があるか、改めてお伺いをいたします。
 さて、先ほど、口ききに関連して、情報公開に触れましたが、私たちは、行政の情報公開のみならず、議会の情報公開と議会運営の改革もまた第十七期都議会の重要な課題であると考えております。今後、各会派の皆様と協議させていただきますが、その第一歩として、今議会には東京都政務調査費の交付に関する条例の一部を改正する条例案の提案を予定をいたしております。私たちの案は、従来会派にのみ交付されていた政務調査費について、都民から選任された個々の議員の調査活動の拡充を図る観点から、会派及び議員に交付することとし、政務調査費の使途に係る透明性の向上を図る観点から、収支報告書に領収書の写しその他これを託する書類をあわせて提出するとするものであります。
 第二の給与とも批判される政務調査費のあり方の見直しは、全国の議会で進められております。政務調査費を会派及び議員に交付するとしている府県議会は十七道府県に上り、収支報告書への領収書等の添付を規定しているのは、既に六府県議会となっております。さきの都議会議員選挙における新聞社のアンケートに対しても、最大会派の自民党は四十八人中二十二名の議員が、そして公明党は三名、民主党、共産党は全員が政務調査費の収支報告書に領収書を添付すべきと回答をいたしておリます。
 こうした状況にもかかわらず、国内最大の自治体議会である東京都議会が収支報告書への領収書等の添付について口を閉ざしていることは、もはや許されることではありません。明確な一歩を踏み出すべき時期と考えますので、よろしくご審議のほどをお願いをいたします。
 以上で、都議会民主党を代表しての質問を終わります。
 知事並びに関係局長の誠意ある答弁を求めます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)