平成17年
予算特別委員会

-平成17年3月14日(月)-


中村委員 本定例会本会議の知事施政方針の中で観光振興に触れられました。その中で、水辺空間の魅力を向上させるため全体構想を策定するといわれました。
 昔には隅田川は庶民の遊び場であり、想いの場でもありました。また、産業流通の水路としての役割もあり、川と人とまちとが一体となり、融合されておりました。世界の四大文明、この発祥の地もすべて川の流域でありました。このように、川が人の生活においてなくてはならない存在であったのであります。このことは、四定でも私から話をさせていただき、また多くの議員からも指摘のあったところであります。
 十七年度重点事業においても、東京の水辺空間の魅力向上に関する全体構想として、エリアごとの活用、広域的な回遊性の確保、水辺周辺の後背地、いわゆる商店術ですね、との一体化の取り組みや水質の向上等を挙げています。
 そこで、まず東京の水辺を活用した都市づくりについてお伺いいたします。
 水辺空間の魅力向上に関する全体構想の中では、中長期的課題として、後背地のまちづくりも視野に入れた水辺の魅力向上について掲げられております。地元商店街を初め、地域の活性化に寄与するこの取り組みは、前倒ししてでも積極的に取り組んでいただきたいと考えております。東京が進める都市再生は多岐にわたりますが、水辺空間の魅力向上はその大きなテーマの一つでもあります。
 そこで、東京の水辺を活用した都市づくり、いわゆるまちづくりについて、石原知事の大きなグランドデザインとしての所見をお伺いいたしたいと思います。
石原知事 一昔二昔前ぐらいでしょうかね、戸田の競艇場、ボートコースができる前、隅田川では早慶戦であるとか東商戟であるとか定期戦がエイトで行われて、そのたんびにOBあるいは同窓の仲間たちだけではなしに多くの人が観戦したものでありますが、このごろ本当に隅田川一つ見ても、東京の水路というものはほとんど観光としても活用されていません。かつては渋沢栄一さんが商工会議所の初代の会頭として、日本の首都東京を東洋のペニスにするんだといわれたそうでありますが、全く現況は似て非なるものでありまして、これをやはり再生させ、川と人間とつなげることで、観光だけではなしに、新しいまちづくりにもつながると思いますので、そういう観点からひとつ思い切ったグランドデザインをつくろうと。同
時に並行して、非常に川から陸に上りにくい護岸の形も変えて、小型の舟艇で川をさかのぼったり下ったりしながら随意陸に上れるような、そういう機能というものを川に付随していきたいと思っております。
中村委員 確かに、川から見たまち、これが非常にかみそり堤防、そういうので隔てられている。ほかの世界では、川からまちを見ると非常にいい雰囲気になっているわけですね。それをぜひ実現していただきたいな、そういうようなまちづくりを取り組んでいただきたいなと思っているわけでございまして、その水辺空間、この魅力向上に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 昨年の十一月、十七年度の重点事業が発表されました。それによりますと、隅田川など東京の水辺空間について、観光、景観、回遊性などを重視し、水辺空間での遊びの場、憩いの場づくりを実施するとあります。隅田川ではテラスの整備も進み、親水性の向上も図られておりますが、より多くの人々に水辺を利用してもらうためには整備上の工夫が必要であります。
 そこで、隅田川での水辺のにぎわいを創出するために、テラス整備などにおいてどのような取り組みを行うのか、お伺いいたします。
岩永建設局長 水辺のにぎわいを創出するには、多くの人々が集い、憩える場となるよう、回遊性を確保し、だれもが近づけるような水辺にする必要がございます。
 都はこれまでテラスなどの整備を進め、水辺空間の拡充に努めてきておりまして、例えば下流部の聖路加ガーデンの前などでは、散策はもとより、ドラマのロケや各種イベントにも利用されてきております。
 平成十七年度は、重点事業として、蔵前橋や厩橋でテラスを連続させ、行きどまりを解消するとともに、両国船着き場では、だれもが利用しやすいスロープを設置いたします。
 今後とも親しみのある水辺空間を創出し、隅田川の魅力を高めていきたい、このように思っております。
中村委員 そういったテラスの整備をやっていくわけですけれども、水辺が人々にとって親しまれる存在、これはにぎわい創出の場として活用させなければならないというふうに思うわけでございます。
 そのためにも、単に水辺だけではなく、例えば商店街や町内会などといった後背地と一体となって地域全体の魅力を高めていく取り組みが重要であろうかと思われるわけでございます。
 しかし、実際には、地域においてそれぞれの生活を営む傍ら、まちづくりを担っていく人の存在があって、初めてこうしたにぎわいの創出に向けた取り組みも可能になるのではないでしょうか。
 昨年の第二回定例会における我が党の代表質問におきましても、まちの個性を生かした観光まちづくりの重要性について質問いたしました。これに対し都は、地域主体の観光まちづくりを全都的に推進するため、まちづくりに欠かせないリーダーを育成し、地域ぐるみで取り組めるように支援を行っていくというふうにお答えになりました。
 都として、具体的にどのような対応を行ってきたのか、お伺いいたします。
関谷産業労動局長 都は、地域の核となつて観光まちづくりを推進するリーダーを養成するため、十六年度にシンポジウムを開催いたしましたほか、観光まちづくり東京プランナー塾を開講いたしました。
 このプランナー塾では、観光まちづくりの具体的なノウハウの取得を目的に、演習や事例学習、先進事例の視察などを十回にわたり実施し、商店街、商工会議所、観光協会、NPOなどから、観光まちづくりに意欲のある五十名の受講があったところでございます。
中村委員 国では、地域における観光振興を成功に導いた人々 −観光カリスマですね、せんだっての新聞にも取り上げられました。こういうふうに「町おこし成功の秘けつ 観光カリスマに学べ!」というふうになっております。我が東京では、台東区から一人、観光カリスマになっているわけですね。ほかでは、秋田県、愛知県、滋賀県、愛媛県とかあります。東京の方がやはり観光カリスマになっているというのは非常に有意義であるなというふうに感じるわけでございます。
 そうした中でプランナーを都がみずから育てていこうという取り組みを開始したわけでございまして、観光振興に対する都の決意がまた伝わってくる、こういうふうに感じられます。
 しかし重要なことは、都の講座を受講された方、その方々がその地域において観光まちづくりを今度実践していく、どういうふうにかかわり合っていくのか、これが一番大事なことでございまして、都としても引き続き積極的な支援を行っていくべきと考えますが、いかがでございましょうか。
関谷産業労働局長 プランナー塾の受講者は、今後それぞれの地域におきまして観光まちづくりに取り組むことになりますが、その取り組みを着実に進めることができるよう、都といたしましても、引き続きフォローアップ講座を実施し、事例研究や情報交換の場を提供してまいります。
 また、地域での取り組みが円滑に実施できるよう、観光まちづくりアドバイザーの派遣などを実施してまいります。
中村委員 東京を国内外から多くの観光客が訪れる魅力あふれる都市としていくために欠かせないのは、それぞれのまちのすぐれた観光資源を有効に活用し、さらに積極的に磨き上げていこうとする地域の熱意、この地域ですね、それが一番大事で、そこの人たちの発想、これが大事なことでございます。
 東京の水辺空間の魅力向上に取り組むに当たっても、地域の発想を積極的に生かしていくという観点から、これまでの上野でのモデル事業や人材育成の成果を踏まえた取り組みがとても大事だと思いますが、見解をお伺いいたします。
関谷産業労働局長 東京の水辺空間の魅力向上に当たりましては、地域の発想を生かすとともに、河川や運河などを広域的な視点から有効に活用してまいることが重要でございます。
 そのため、上野地区観光まちづくりモデル事業における地域での一体的な取り組みの成果や、観光まちづくり東京プランナー塾で構築されました受講者間のネットワークも生かしながら、複数区にまたがる観光まちづくり推進組織の設立などを支援してまいります。
中村委員 ぜひ人づくり、これを積極的に支援していただきたいなというふうに思っているわけでございます。
 次に、臨海部のにぎわいの創出についてお伺いいたします。
 臨海部へは、浅草から水辺を通じてつながっております。この隅田川を通じて全部つながっているわけでございまして、その水上バスを利用すれば比較的短時間で訪れることができる。最近、水路により、歴史と伝統の浅草、これと近未来的な臨海副都心をともに訪れる観光客が多いと聞いております。お互いに地域の特色を踏まえた観光振興を進めることにより、双方ともに来訪者数の増加を図っていくことができると思います。
 浅草でもいろんなイベントをやっております。臨海副都心でも、このにぎわいづくりにも、やはりこのイベントが大事ではないかなというふうに思うわけでございまして、例えば浅草のサンバだとか時代祭り、いろんなものを浅草周辺でやっているわけでございます。そういうところの地域的な面の広がり、こういうものがやはり多くの人を呼び込む、来ていただくというふうになろうかと思うわけでございまして、これまでこの臨海副都心、観光まちづくりというふうに力を入れております。その臨海副都心で実際にイベントが行われていたのか、そしてまた、それが継続されているのか、それをお尋ねいたします。
成田港湾局長 臨海副都心では、地域ブランドを形成し、魅力ある地域づくりを進めるため、面的な広がりを持つイベントを継続的に実施してきたところでございます。例えば、さまざまな色彩と趣向を凝らしたツリーに一斉点灯するイルミネーションアイランドお台場には、点灯期間中約百六十万人が訪れております。
 このほか、お台場ビーチやシンボルプロムナード公園などをコースとしてトップアスリートが集うトライアスロン大会、さらに、台場、青海、有明を舞台に、リズミカルな音楽と躍動的な踊りが繰り広げられるドリーム夜さ来い祭りなどの事例がございます。
中村委員 今お伺いいたしますと、結構いろんなイベントをやっているなと思います。ただ、これが多くの方に知られているのかなと、ちょっと、私、疑問を感じるわけでございますけれども、何といいましょうか、マスコミ等で取り上げられる、そういうようなイベントに持っていかなければならないと思うわけですね。
 都内では、私どもの三社祭り、そしてまた、私びっくりしましたのが、千代田区で天下祭りというのを、これを継続しようと区を挙げてやるんですね。これだけ大きなスペースをとって、マスコミに取り上げられている。やはりこういうふうに臨海副都心も取り上げられるような、そういうイベントに持っていかなければいけないんではないかなと思うわけでございます。
 そうした中で、そういうことによって、商店街だとか、そういうものが一緒になって活動ができるんじゃないかなというふうに思うわけでございまして、積極的に商店街、そしてまた、臨海副都心商店街といって正しいのか、そこら辺ちょっと擬問ありますけれども、八年ほど前ですか、まちづくり協議会というのが設立されたというふうに聞いております。その八年前に比べますと、企業もかなり多く出店してきたろうと。そういうような中で、このまちづくり、そしてまた、観光イベントに協力、参画できる有力なテナント、これもできているのではないかというふうに思うわけでございます。
 そこで、有力な商業テナント等の民間企業も一体となつてまちおこしができる仕組みづくりに取り組むべきと思いますが、所見をお伺いいたします。
成田港湾局長 お話のように、臨海副都心には、平成九年に、地権者を構成員として設立されました臨海副都心まちづくり協議会がございます。昨年、都は、この協議会メンバーと有力な商業テナント等から成る連絡会を立ち上げまして、観光まちづくりの推進に向けて、情報の共有化を図りながら、連携したイベントの開催を促進してまいりましたが、今後、さらにこうした広域的ににぎわいを創出していくためには、地域の核となる母体が必要でございます。来年度は、まち開き十年目の節目の年を迎え、例えば「ゆりかもめ」を軸にイベント連携を行うまたとない機会でありますので、協議会にまちおこしの仕組みづくりを強く働きかけてまいります。
中村委員 地域全体一丸となった継続イベントを創出し、継続していくためには、地域の推進組織がしっかりしていることが必要でございます。そういう意味からも、例えば、臨海副都心まちづくり協議会の中に商業テナントも含めた観光まちづくり部会を設け、臨海といえばあのお祭りといえるようなイベントをぜひつくり出していただきたいなと思うわけでございます。
 次に、臨海部のこのにぎわいというのは、臨海副都心だけではなく、運河周辺のエリアも重要でございます。都は、今年度の重点事業として運河ルネッサンスに取り組むとし、観光資源として運河を位置づけ、にぎわいの創出に取り組んでまいりますといっております。先ほどお話がありました東京港運河まつりですか、大変結構な試みだろうというふうに思うわけでございます。大いに進めていただきたいというふうに考えます。
 ところで、水辺空間の魅力の向上について、テラスやイベントなどのにぎわいももちろん大事なことでございますが、水辺と町並みの調和など、水辺から見て心地よい景観づくりが重要であります。水辺から見た景観まちづくりについて、どのょうに取り組んでまいるのか、見解をお伺いいたします。
梶山都市整備局長 お答えいたします。
 水辺とその周辺は景観を形成する重要な要素であり、これまで都は、隅田川や臨海部など、東京を代表する水辺空間を景観基本軸に指定し、良好な景観の誘導に努めてまいりました。近年、民間開発が進み、東京の町並みが変わる中で、水辺の景観もさらに変化していくものと思われます。
 このため、本年一月、景観審議会に今後の景観施策のあり方について諮問し、河川、運河などと、その周辺の景観形成についても検討課題といたしました。今後、景観審議会での審議を踏まえ、公共施設や観光施策との連携も視野に入れ、水辺に着目した景観施策の樺築に取り組んでまいります。
中村委員 隅田川や臨海部など、景観基本軸が制定され、各地区にふさわしい景観誘導に努めてきたということでございます。改めて河川、運河など水辺空間の景観整備について景観審議会で検討するということでございます。でさるだけ早く結論を得て、強力に取り組まれますことを要望しておきます。
 また、水辺空間の景観整備という点では、いわゆる放置船舶、この対策が大変重要で、早急に取り組まなければならないというふうに思うわけでございまして、その放置船舶、これを見た人は非常に不快感があるわけです。平成十四年には船舶係留の適正化条例というものを制定いたしました。放置船の適正化に取り組んでいるというふうに思われますが、まだまだ、私、川へ行きましても、放置船舶と見られるものが多いわけでございます。
 そこで、隅田川や神田川における不法係留船の対策について、これまでの対応、そして今後の取り組みについてお伺いいたします。
岩永建設局長 都は、平成六年度から暫定係留施設を整備し、放置船対策を進めてまいりました。また十四年度からは、船舶の係留保管の適正化条例によりまして、旧江戸川など三河川の適正化を実施してまいりました。
 隅田川、神田川におきましても、放置船対策に取り組んできましたが、いまだ営業船やプレ
ジャーボートなど八十隻余りが放置されております。
 このため、公共水面を活用した新たな係留施設につきまして、船の所有者や地域住民などと協議を行っております。今後とも関係者の理解と協力を得ながら、放置船の解消を図り、水辺空間の魅力向上に努めてまいります。
中村委員 河川の方では八十隻まだ放置されている。じゃ、東京港の方ではこの放置船舶の実態はどうなっているんでしょうか。お伺いいたします。
成田港湾局長 港湾局では、東京都船舶の係留保管の適正化に関する条例に基づきまして、港湾区域における放置船舶の把握とその是正指導を行うとともに、係留保管施設の整備を進めているところでございます。東京港内の放置船舶数につきましては、毎月調査を行っておりますが、本年二月時点で百二十六隻でございます。これは条例施行前の平成十四年五月に調査した三百十隻の半数以下と、大幅に減少しているところでございます。
中村委員 百二十六隻の放置船舶があるというふうになっていますけれども、放置船舶と一言でいっても、いろんな船があるわけですね。その船の種分けというんですか、どの船が何隻ぐらいあるのか、それをちょっとお示しください。
成田港湾局長 放置船舶百二十六隻の内訳でございますが、プレジャーポート十二隻、屋形船、遊漁船二十三隻、工事用作業船六十二隻、その他の小型船舶二十九隻となっております。
中村委員 放置船舶、今内訳聞きました。プレジャーボート。プレジャーボートというのは、経済的にもある程度豊かな人が使っている。その船というのは、放置しないで、船の係留場、そういうところに使用料を払ってとめるべきだと思うんですよね。また、屋形船。屋形船というのは営業してまして、また、江戸の、東京の風物詩としては見た目もいいのかなと。ただ、それもある程度使わない船は係留場に持っていってもらう。
 一番問題なのが、工事用の船ですね、作業船。台船みたくなっていまして、ともすれば赤茶けている。そういうのを見た観光客、または訪問客の人、いい感じはしないわけです。そういうのの処理、こういうものをやっていかなければならないと思うわけですけれども、その対策というんですか、今後どういうふうに取り組んでいくのか、お示しください。
成田港湾局長 船舶係留の適正化を図るために、船の種類別に係留保管施設の整備等を進めているところでありまして、このうち今お話の工事用作業船への対応につきましては、新木場西側の十二号地貯木場の空き水面を有効活用しまして、係留保管場所として整備してさたところでございます。
 これによりまして、工事用作業船の放置船舶数は二百五十隻から六十二隻へと大幅に減少したところでございます。今月内には貯木場出入りロの安全対策工事を完了させ、この水域を一層活用いたしまして、工事用作業船の係留適正化を推進してまいります。
中村委員 そういう工事用の船を適正な場所に移す、そしてまた、この水辺をきれいにする、いろんな人が来ても、ああ、きれいな川だな、きれいな港だなというふうに持っていく。それによって東京の観光資源につながっていくんではないかなと思います。
 ただ、今、質問してきた中で、ここは港湾局の部分である、ここは建設局である、このまちづくりに関しては都市整備である、これで一番困るわけですね。都民、国民、そういうことはどこの所管だとかわからないわけでございまして、そういうのを一括して処理していかなければならない今後の課題として、石原知事の強いリーダーシップの中で、全体的に見ていただいて、この都市づくり、こういうものに川を当てていただきたいなというふうに思うわけでございます。そういうことを強く要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。
 次は、監理団体について質問をさせていただきます。
 都の監理団体は、この石原都政のもとで積極的に改革を進めてきているというのは、前にも質問がございまして、そういうふうに進んでいるなというふうに感じるところでございます。
 そこで、まず現在までの改革の取り組み状況、そして、その成果も含めて、これは所管の副知事から説明をお願いしたいと思います。
濱渦副知事 監理団体の意義は、都民への行政サービスのあり方が、都が直接実施をするよりも、民間の資金であるとかノウハウを活用した方が効率的で弾力的な事業がでさるんじゃないか、そういうところで監理団体が存在したわけでありますけれども、石原知事の就任の当時、都財政が非常に危機的な状況にありまして、団体そのものの必要性が薄れたり、あるいはまた東京都へ過度に依存しているなどの団体が多く見られました。行政サービスそのものは、時代であるとか社会の進展に伴いまして変わるものでありますから、硬直した施策だけではうまくないと思います。
 したがって、団体の設立の趣旨にまでさかのぼって見直すこととしました。廃止も含めました根本的な改革に乗り出したわけですが、その結果、石原知事が就任いたしました平成十一年、監理団体が六十四ありました。それが、ことし十七年度の予算ベースでは四十三にまで削減になりますし、職員数も二千五百二十五人削減、都財政の支出は年間に一千四百三十六億円削減と、こういうような大幅な計画を上回る達成率になってきます。
 しかし、まだまだ手の届いていないといいますか、改革の進んでいない団体もありますし、問題のある団体もございますので、一層身を引き締め改革に当たっていきたいと思います。よろしくお願いします。
中村委員 かなり改革が進んでいるなというふうに感じるわけでございます。
  そうした中で、先般、本会議で包括外部監査の報告をいただきました。ここに全部出ております。 その中で、都の監理団体である東京都社会福祉事業団に関する指摘や意見がありました。それによると、社会福祉事業団は都が全額出資している監理団体であることをもとに、(発言する者あり)現在は随意契約で都立の福祉施設の運営を一手に委託しているということでございます。
 しかし、指定管理者制度が導入される平成十八年度以降は、(発言する者あり)民間事業者との競争入札になってしまう。人件費が高い事業団が民間に勝って施設運営委託を継続していけるのは相当厳しいとされているというふうに指摘されております。このことは、いわば監理団体としての社会福祉事巽団そのもののあり方が問われていると考えるが、そのように認識してよろしいか、副知事の見解をお伺いいたします。
   〔「おかしいよ」と呼び、その他発言する者多し〕
濱渦副知事 ご不満の声もありますが、ご質問でありますから、お答えします。
  そのとおりであります。
   〔「局長が答えろよ」と呼び、その他発言する者多し〕
中村委員 社会福祉事業団に関する包括外部監査報告に関して伺いますが、知事は、二月二十五日の定例記者会見で、とても大事な問題が出てきてびっくりしているというふうにおっしゃいました。それはどういうことなのか、私も調べました。そして、調べた結果、新聞にいろいろ出ていました。新聞報道かなり出ていました。福祉事業団が転貸ししている。そしてまた、ここに出ているのは、都有地の使用目的の変更、規則にも抵触のおそれがある。それからまた、石原知事は認めてないとか、こういうようなのがあるわけですね。また、正門にプレートが二つあって、実態は専門学校の占有である、こういう記事が出て、あったわけでございます。都民の共有財産である都有地の上に建つ建物が、特定の学校法人の学校として使われているのはにわかに信じがたい。本当にそうであるのか、信じられないわけですけれども、知事はこのことを認めていたのか。そのことを知事ご自身にお伺いいたします。
  〔「予算提案しているんだろう」と呼び、その他発言する多し〕
石原知事 外部監査はいろんな意味で非常に有効だと思います。今までも外部監査の指摘によって、外郭団体のみならず、各局も業務の合理化、簡素化ということで非常に刺激を受けてやってまいりましたが、このことの発端は、私が自民党の川井さんでしたかな、いわれて、やっぱり端切れの土地とか、都の持っている財産がほったらかしにされて、それが一つ活用されると、随分交通の便にもつながったりして、そういうものをもっと積極的にやったらどうだという非常にいいサジエスチョンをいただきまして、それで、小さなもの大きなもの含めて、都有財産を有効に合理的に使おう、そのための調査をしようということにかかわりがございます。
 このケースもその一つではないかと思いますが、実態、私まだつまびらかにしておりませんけど、いろいろ仄聞もありますが、(発言する者あり)いやいや、局が出した念書とか、ある文書に、学校法人の成立に特例中の特例とかいう、そういう認識を局が述べている。それがどういうゆえんでそういう形になったのか知りませんけれども、先日、関係の三人の局長に、ちゃんと文書も添えまして、それぞれの責任でこの実態をきちっとさせてほしいということを私は申しました。
中村委員 それでは、財務局長にお伺いいたします。
 都有地、この監理団体、無償に貸し付けた場合にはどういう手続が必要なのか。そしてまた、事業団の土地を無償貸付を決めたというのはどういう理由に基づくものか。また、貸し付けに当たり何か条件を示しているのか。財務局長、お答えください。
松澤財務局長 今回の社会福祉事業団に村する土地の貸し付けの手続につきましては、平成十一年の三月に、貸付予定地を所管する福祉局が、東京都公有財産管理運用委員会に本件土地の貸し付けを付議しまして、その議決を経まして、平成十一年三月二十五日に、都と社会福祉事業団と、三十年間で無償の土地の貸付契約を結んでいるものでございます。
 この契約の中では、社会福祉事業団が設置する福祉人材養成機関の用地等として使用しなければならないこと、また、転貸や、土地を使用する権利を譲渡してはならないことの二点を貸し付けの条件としております。
 また、無償貸付としておりますが、この理由としましては、沿革的に都の施策である福祉人材養成事業を継続するための施設での使用であること、それからまた、全額都の出資により設立された監理団体である東京都社会福祉事業団が直接使用すること、さらに事業の採算性が低いこと、こういうことによるものによりまして、無償で貸し付けしている、こういう状況でございます。
中村委員 そうですね。ここに民間法人が平成十四年一月三十一日付で練馬区長に提出した書類があります。これ、私どもで独自で入手したものでございますけれども、臨床福祉専門学校設置認可申請書という件名が記載された文書があります。(発言する者あり)練馬区長が出してます。これに臨床福祉専門学校設置要綱なるものが添付されております。校地の欄には、借用面積、所有者東京都と書かれております。また、施設の概要には、校地として占有のうち借用六・六一二四五平米となっております。都の土地を事業団が事業団以外のものに使用させたり、ましてや貸すなどということは今のお話でもできないわけであります。にもかかわらず、民間学校法人の理事長が練馬区長に提出した学校の設置認可申請書という重要書類には、はっきり借用と書いてあります。あたかも所有者の東京都から借用しているような内容である。東京都は、この民間学校法人に対して、二千坪もある都有地を本当に貸しているのか。貸していないのならば、これはどういうことになるのか、財務局長、お答えください。
松澤財務局長 先ほども申し上げましたが、東京都が土地を貸しているのは、あくまで東京都社会福祉事業団でございまして、学位法人には土地は貸しておりません。また、社会福祉事業団に対しても、契約書で貸し付けた土地の転貸や土地を使用する権利を譲渡してはならないことを明記しております。
 都としては、学技法人に土地を貸している事実はないのか、なぜこのような記載をしたのか、事業団を通じて学校法人に確認をしたい、こういうような状況でございます。
  〔「財務局、知らないということないだろう」「委員長、おかしいよ」と呼び、その他発言
   する者多し〕
中村委員 ところで、都民共有の財産である都有地に都民の税金をつぎ込んで建設した社会福祉事業団の建物を特定の民間学校法人が独占的に使って学校を開設するということを認める重大な意思決定が、一体全体いつ、だれによって行われたのか。そもそも、このような重要なことを、知事が決定がないというのにどうしてできたのか、理解できないことが多過ぎます。監理団体に対する都民の厳しい目線にも耐えられるよう、この際しっかりと調査し、厳正に正していただきたい。
 それと同時に、今回の包括外部監査による社会福祉事業団に対する指摘や意見は、単に社会福祉事業団の研修事業にとどまらず、都の財政面、予算面、さらに指定管理者制度の導入を目前にして、監理団体として社会福祉事業団のあり方そのものにも及ぶ重大な問題であります。
 そこで、最後に、財務局や監理団体の改革を所管する副知事に、今後この問題、どのように取り組んでいくのか、その考えをお伺いいたします。
   〔「おかしいじゃないか」と呼ぶ者あり〕
濱渦副知事 お答えをいたしますが、包括外部監査人によって、現在の問題として行われている補助金が正当ではないかもしれないという疑念を発しられました。そうすると、それが都民の財産でありますから、正当な形に戻さないといけない。そのときに、その土地であり、建物等々を含めて、財産が正当な形で、不法でない形で処理がされないといけないと思います。そのためには、もう一度この中身を精査して、本来の形に戻すが一番かと思っております。
  〔「おかしいよ」と呼び、その他発言する者多し〕
中村委員 それでは、次の質問に移ります。
   〔発言する者多し)
富田副委員長 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
樺山委員長 速記を始めてください。
 それでは、質疑を中断して、理事会を開催のため、暫時委員会を休憩いたします。
  午後四時八分休憩
  午後四時五十三分開講
樺山委員長 ただいまから委員会を再開いたします。
 先ほどの民主党中村明彦委員の質問に関連し、委員会休憩中の理事会で協議をいたしました結果、事の重大性にかんがみ、かつ、予算特別委員会に与えられた限られた審議時間との関係もこれあり、委員会としては、議会運営委員会にその取り扱いについて一任をするとの結論で協議が調いました。ご了承願います。
 それでは、中村明彦委員の質問を続行いたします。
中村委員 続きまして、地域振興、地域資源活用プロジェクトについて伺います。
 東京都は、地域における産業や人材などの資源を把握し活用する産業活性化のモデルを示すものとして、昨年度、いわゆる平成十六年には、このプロジェクトへの取り組みを始めております。第一弾は、北区、板橋区地域でのKICCプロジェクトと聞きますが、そのKICCプロジェクトの進捗状況及び成果についてお伺いいたします。
関谷産業労働局長 昨年五月に、地元企業や有識者等から成るKICCプロジェクト推進委員会が設置されまして、ホームページによる情報発信、各種展示会での普及、両区地域にわたる企業懇談会の開催等が行われております。
 また、個別のプロジェクトでは、介護用機器の試作品が完成し、見本市に出展したほか、視覚障害者等の移動を支援するための仕組みづくりなどが進んでおります。
 このようにさまざまな取り組みがなされ、地域が一体となってKICCプロジェクトを着実に推進しております。
中村委員 そして、今年度は、我が台東区を初め、荒川区、墨田区、葛飾区、この地域でのTASKプロジェクトという構想を発表いたしました。その中では、ものづくりのプロジェクトも含まれているようですが、いろいろ構想、KICCプロジェクトでもそうですけれども、TASKプロジェクトも、物をつくる、これは大事なことなんですけれども、つくったものをどういうふうに製品化して商品化するのか、これが大事なところなんですね。つくって売れなかったら話にならない。この売るという、それによって産業振興につながっていくわけでございますけれども、こういうものを、東京都では、つくったものを売るために、どういうような支援をしていくのか、それについてお伺いいたします。
関谷産業労働局長 ものづくり関係のプロジェクトにありましては、よい製品をつくることはもとより、開発する製品の販売ルートの確立や知的財産の取り扱いなどが重要でございます。
 このため、都といたしましても、中小企業ニューマーケット開拓支援事業による販路開拓支援や、知的財産総合センターにおける特許取得等の相談など、現行の制度を活用いたしまして、プロジェクトが円滑に進むよう支援をしてまいります。
中村委員 余り具体的ではないなと思われるんですけれども、始まったばかりですので、今後ということを期待しておさます。
 次の質問に移らせていただきます。
 銀行ですね、いよいよ新銀行もこの四月に開業が成るということになつているわけでございますけれども、基本的には、この店頭では現金を取り扱わない。そしてまた、今までの銀行にない特色を打ち出すというふうになっているわけでございますけれども、この店舗づくりの基本コンセプト、これについてお伺いいたします。
津島新銀行設立本部長 新銀行の店舗は、中小企業や都民に親しまれる銀行として、オープンでお客様本位を基本コンセプトとして整備しております。
 その一例として、各店舗のスペース配分について見ますと、顧客用スペースを大きく設計し、その結果、既存銀行では顧客が利用できるスペースが約三割にも満たない店舗が数多くあるのに対しまして、新銀行の店舗では、おおむね七割以上のスペースを顧客用として確保しております。
中村委員 お客重視の銀行という形になろうかなというふうに思うわけですけれども、そうした中で、時間も余りないので簡潔に質問させていただきますけれども、お客の安全性ということに関しまして、今、コンピューターだとかでの情報流出、そういうものが非常に危惧されているわけですよね。その辺に対してのセキュリティー、そしてまた、どういうふうにお客に対してプライバシー、そういうのなんかを配慮していくのか、そういうものについてお答えを願いたいと思います。
津島新銀行設立本部長 二点の質問だと思います。
 新銀行では、顧客の信用に関する情報が漏えいすることのないよう、例えば法人応接ブースを各店舗とも個室を中心に配置し、顧客のプライバシーに配慮しております。
 さらに、各法人応接ブースには監視カメラ等を設置するとともに、店内に数多くの監視カメラを設置し、防犯対策や個人情報の流出防止など、セキュリティー対策にも十分配慮しております。
 また、コンピューターシステムについてでございますけれども、新銀行では、コンピューターシステムを基本的に独立したものとするとともに、外部との接続を行う場合には、不正侵入を防ぐファイアウォールの設定や通信の暗号化など、徹底した安全対策を講じることとしております。
中村委員 終わりますので、最後に、新しい銀行、六店舗開業ということですけれども、今後、開業の六店舗、どういう順番で開業されていくのかを質問して、終わります。
津島新銀行設立本部長 新銀行は、四月一日の開業に当たり、まず本店をオープンし、その後、五月上旬に新宿と蒲田を、七月上旬に上野、錦糸町、立川の各店舗を開設する予定で、十七年度については、この六店舗で営業を行います。
 残り四店舗につきましては、既存店舗に来店した顧客の地域分布や、融資、預金残高などの営業実績を総合的に分析し、全体的なバランスも視野に入れながら最適地を選定し、平成十八年度末までに開設することとしております。