平成16年
東京都議会会議録 財政委員会
-平成16年9月30日(木)-

○中村委員 それでは、何点か質問させていただきます。
 昨年の十一月に新銀行基本スキームが発表されまして、いろいろ審議をしてきたわけでございます。そういう中で、いち早く開業に向けて皆さん取り組んでいただいて、いい結果が出ればいいかなというふうに思っているわけでございます。
 そうした中で、七月に警視庁の方の発表で、昨年一年間の自殺者の報告がありました。三万四千四百二十七人の自殺者があった。そうした中の自殺の原因、これがやはり非常に大事なところでございまして、負債を抱えていて自殺に追い込まれた人が五千人強、そしてまた事業不振による人が千四十一人、失業してしまって自殺に追い込まれた方が六百十人ですか、そういうのがございまして、その中で占める自営業者の方々が四千二百十五人もいた。
 この自殺された方々、こういう者を自殺をされないように救っていくのが、この新銀行東京の使命ではないかなというふうに思うわけでございまして、私の知人なんかも、コンピューターで靴のデザインだとかそういうものをやっている方、たまたま不渡りの小切手を受け取ってしまって、その小切手が不渡りになってしまった。そして倒産、廃業に追い込まれたというのもございます。
 非常にいいアイデアを持っている、しかし、金銭的に資金繰りがうまくいかなくなってしまった、そういう人を救うのが、今、本部長がいわれたように、この新銀行の使命ではないかなというふうに思うわけでございまして、そういう融資をぜひとも目指して、企業が、または中小零細企業が再生、再建でさるように積極的に取り組んでいただきたい、このように願っているわけでございます。
 そしてまた、本来の目的である中小企業融資、またもう一方の柱でありますICカード、この事業について何点かお伺いいたします。
 最近の新聞報道によりますと、日本信販とUFJカードとの統合、そしてまたUCカードを含むみずほフィナンシャルグループとクレディセゾンがクレジットカード分野で全面提携するなど、業界再編に向けた動きが加速しておるわけでございまして、こうした動きは今後においても、技術の進展等とも相まって、ますます活発化することが予想されるわけでございます。
 新銀行がカード事業を展開するに当たっては、これらの動向を十分に注視しながら進めることが重要であると考えておりますが、このような業界動向についてどのようにお考えであるか、お示しください。
○関新銀行設立本部企画担当部長 クレジットカード事業につきましては、インターネットの普及に伴う代金決済手法の拡大や、高速道路や病院などでのカード決済可能な場の拡大、さらには、IC技術の進展に伴う新たなサービスの創出もあり、現在、急速な勢いで社会に浸透しております。
 こうした中で、カード業界は取扱高のシェア争いが非常に激化し、厳しい経営環境のもとで、ICカード化や不正防止対策のため、大規模なシステム投資などに対応していくということから、生き残りをかけた大型再編の時代に突入したといわれております。
 今回のみずほフィナンシヤルグループとクレディセゾンとの提携は、銀行とカード会社が、従来の金融、流通といった系列を超えた業界再編を行うことで、ショッピングカードのショッピング取扱高シェアの確保を意図したものと考えております。
○中村委員 みずほフィナンシャルグループとクレディセゾンとの業務提携、要は、みずほ銀行が、新鋭行が打ち出した新しいビジネスモデルと同じ戦略をとり始めたものといえると思うわけです。
 そこで気になるのが、今回の提携により、業界内での取扱高シェア、これはどの程度になるのか、また新銀行東京の提携先であるJCB及び日本信販の取扱シェアはどの程度なのか、お示しください。
○関新銀行設立本部企画担当部長 こうしたシェアにつさましては、公式のデータはございませんけれども、日経新聞によりますと、クレジットカードデータのショッピング取扱高シェアは、UCカードが五・七%、クレディセゾンは七%でございまして、提携により一二・七%のシェアを占めるということでございます。
一方、JCBの取扱高シェアは業界最大の一一・二%であり、これに日本信販のシェア六・四%を加えますと、合計で一七・六%と、一・五倍のシェアになります。
 新銀行東京は、これらのJCB及び日本信販と提携することによりまして、カード会社の経営資源を有効に活用し、ICキャッシュカードの利用機会の拡大により、顧客利便性の向上を目指していきたいと考えております。
○中村委員 ますます他の金融機関との競争が激しくなるというように感じております。都民、中小企業の期待にこたえるべくぜひ頑張っていただきたい、このように願うわけです。
 では、次に、新銀行東京のICカード事業について具体的にお伺いいたします。
 改めて確認になりますが、新銀行東京では、どのようなサービスが付加されたICキャッシュカードを発行するんでしょうか。
○関新銀行設立本部企画担当部長 新銀行東京のICキャッシュカードにつきましては、JRのSuica機能が付加された交通系のカードと、JALマイレージバンクや三越の百貨店ポイントなどの提携サービスが付加された非交通系の、大きく二種類のカードを発行する予定でございます。
○中村委員 交通系、非交通系、それぞれのサービスが付加されたカードを発行するということでございます。単に銀行のキャッシュカードとしての機能だけを必要とする人や、クレジットサービスのみを追加したい顧客への対応は可能なんでしょうか。
○関新銀行設立本部企画担当部長 新銀行東京が発行するすべてのICキャッシュカードには、バンキングサービスとしてATMの人出金が可能なキャッシュカードの機能と、買い物などの際に即時決済が可能なJ-Debit機能が備えられておりますので、その他の付加サービスを必要としないというお客様には、バンキングサービスのみのカードを発行することも可能でございます。
 また、クレジットカードだけをそこに追加したいお客様に関しては、バンキングサービスにクレジット機能を追加したカードを発行する予定でございまして、なおこの場合は、JCBまたはNICOS(日本信販)のいずれかのブランドを選択していただくということになります。
○中村委員 いろいろな多機能、多種なカードが選択できるという、顧客にとってはいろいろ楽しめるのかなというふうにも考えておりますが、それぞれの顧客のニーズ、要求に合わせて、きめ細かな対応をすることは非常によくわかりました。
 交通系のカード、これについてもう少し詳しくお伺いいたしたいと思います。
 JRのほかに、今、都営交通との提携カード、これはいつごろ発行できるのでしょうか。
○関新銀行設立本部企画担当部長 JR以外の都営交通などの機能も使える、鉄道事業者などとのIC乗車券の相互利用が始まりますのは、平成十八年度の後半になると考えられます。
 都営交通などとの一体型提携カードを発行できるように、関係部署と鋭意調整中でございます。
○中村委員 カード、非常に便利であります。内容的にもかなり詰め込まれたカードになろうかなというふうに思うわけですけれども、その利便性の半面、他人の手に渡った、事故のあったとき、これが非常に危険なわけですね。悪用されることもございます。そうしたときの防止策もこれから考えていかなければならないなと思うのですけれども、最近、東京三菱銀行のカードで、キャッシュカードになるわけですけれども、手のひら静脈認証というのが、この十月の十二日から発行されるわけです。東京三菱銀行で画期的なことをやるわけですね。
 今、日経新開でもかなりよく出ております。一面全部使って、いわゆる手のひら静脆認証と、よくわからないんですけれども……(「指紋かな」と呼ぶ者あり)指紋とはまた違うんですよ。静脈の何かで、その人じゃなきや暗証システムが出ない、そういったものも発行されるというふうに聞いております。
 そうした中で、もう一つは三井住友カードですね。携帯電話によるクレジット決済、そういったサービスが急速に拡大してきているわけでございます。
 そして私どものこの新銀行東京、こういうのにも対応しなければならないというふうに思うわけでございまして、先端技術を積極的に活用して新たなサービスを提供するべきと考えますが、その辺はいかがでございましょうか。
○津島新銀行設立本部長 先生おっしゃるように、今、カードにつきましては非常に技術革新が進んでおります。
 ただ、現在の金融界では磁気カードが主流でございまして、これをIC化していく、こういう流れが中心でございまして、その流れの中で、ただいまの生体認証あるいは携帯といった、さらにその先が一部出始めている、こういう状況でございます。
 新銀行東京は、スタートにおいてまずICからスタートするということで、既にスタート時点から安全性の高いICを軸としまして、金融、それから異業種にわたる企業、さらには行政とも連携しまして、そこから創出する高い利便性、これを売りに、しかも安全に提供していくというスタートでございます。
 こうした金融サービスは、これまで金融界では非常に停滞しておりまして、新銀行が先導的な役割を今後とも果たしていけるというふうに思っております。
 新銀行の今後の方向でございますけれども、当然、技術の進展や顧客ニーズの動向などを注視しながら、一歩進んだ新世代、いわゆる次世代のカードについても、ただいま申し上げました生体認証や携帯、こういったものについても十分対応できるような準備を、今、もう進めているところでございます。
 新銀行は比較的小ぶりでございますし、従来のシステムの改善コストがほとんどかかっていないという強みがございますので、迅速に時代の変化に対応でさる、そういう体制を整えております。ICカードを通じまして、豊かな都民生活の実現に貢献する銀行に育て上げていきたいというふうに思っております。
○中村委員 非常に力強い、そしてまた夢とロマンの持てるような新銀行だなというふうに感じております。
 都民の方が本当に一人でも喜んでもらえ、そして事業が再建、または発展するような支援をしてもらえる、そういう銀行をつくり上げていただきたい。来年の開業に向けて、今お話を伺っていますと、着々と進んでいるなというふうに感じましたので、今後もしっかりと頑張って都民のための銀行をつくつていただきますことを切望いたしまして、質問を終わります。